(1)情報セキュリティーについては、あらゆるモノがインターネットにつながることで、サイバーセキュリティーのリスクは高まっている。例えば、自動車を人が運転しなくても走行できる「自動運転」で不正操作が行われれば、人命の危機や重大事故をもたらす可能性がある。
(2)人工知能(AI)については、センサーから得られた膨大な情報をリアルタイムに解析し、アクションにつなげるために、解析・認識技術向上が求められる。
(3)電源・省エネについては、IoTに必要なセンサーを定常的に稼働させるための電源供給には技術的課題がある。
(4)法規制については、例えばセンサーを付けたドローンや自動車などの輸送機器、医療機器に分類されるウエアラブルデバイスは国の許認可が必要な分野である。不測の事態が発生した場合の対応、責任、影響についても社会的な議論を要する。
(5)プライバシーやデータ所有権については、個人のバイタルデータ(生体情報)などのセンシティブな情報の収集・活用にあたり、データ所有権が課題となるケースがある。
(6)市場面では、IoTの分野で異なる機器やプラットフォームでデータをやり取りするための接続仕様の標準化が求められている。
日本政策投資銀行の調査によれば、国内企業でIoTを活用しているのは6%、検討中の企業を含めても2割にとどまる。今後、IoTが生産やサービス現場での業務遂行や社会生活に新たな価値提供を担う手段として活用されることにより、社会的諸課題が解決されていくことが期待される。