そこで、ヒューマンライツ・ナウでは、法整備などの対応を、政府の各省庁などに対して求めている。
同時に、業界も自主的に人権侵害をなくす体制を整えるべきであると考える。
AV出演は、AV制作過程や勧誘の段階での人権侵害や出演強要が発生しやすい業務である以上、サプライチェーンの頂点に位置して利益を得ているメーカーや、流通が相当の注意義務を払って強要等を防止・是正する姿勢と仕組みをつくるべきである。
若い人たちの無知と困窮に乗じて、衆人環視のもとに性行為を強要し、その一部始終を撮影して、販売するというAV出演強要被害は、債務奴隷ともいうべき悪質な人権侵害であり、性暴力にほかならない。一刻も早い対応が求められている。
この点では16年5月に、アダルト作品の著作権侵害問題や業界の啓蒙活動に取り組んでいる特定非営利活動法人「知的財産振興会(IPPA)」から、シンポジウム「AV出演強要被害の根絶を目指して」開催に際して書面で、外からの視点という面で協力を請うとの回答を得ている。
被害にあっている人たちへ
こうした法規制には時間がまだかかるかもしれない。しかし、出演強要被害は確実に多くの人に知られるようになってきた。今後、若い人たちが、実情を知った上で注意をして契約を締結してくれることを祈りたいと思う。前述の東京地裁の判例では、出演強要をされたら、即時に女性の側が契約解除をすることができ、解除後には違約金の支払い義務がないと判断し、被害救済に道を開いた。「違約金を払えなければ出演するしかない」と脅されて追い詰められている若い人たちも、勇気をもって解除すれば、逃れることができる。悩んでいる方には勇気をもって逃げてほしいし、そのことを周囲も手助けしてほしいと願ってやまない。
<相談窓口>
NPO法人 人身取引被害者サポートセンター 「ライトハウス」
電話 0120-879-871(月~金曜10~19時)
メール soudan@lhj.jp
PAPS(パップス/ポルノ被害と性暴力を考える会)
電話 050-3177-5432
メール paps@paps-jp.org
一般社団法人 社会的包摂サポートセンター 「よりそいホットライン」
電話 0120-279-338
岩手・宮城・福島三県専用 0120-279-226
(いずれも24時間対応)