そうして判決が出たあとも、命を失った原告がいる。
このように、「日本人」であっても「端っこ」はリアルタイムで見事に切り捨てられている。
一方、外国人への風当たりは今後さらに厳しくなりそうだ。
10月末、政府は外国人政策の見直しを進める関係閣僚会議を設置する方針を固め、発表。
政府の司令塔機能の強化と外国人の土地取得ルールの厳格化、オーバーツーリズム対策、治安対策、帰化の厳格化などが検討項目になるということで、11月4日には最初の会合が開かれた。
歴史家で国際政治学者の板橋拓己氏は、『世界』11月号に掲載された「拡大する『内なる敵』のレッテル――排外主義のメカニズム」(森千香子)を紹介する原稿で、「排外主義的な極右政党が定着したフランスでは、排外主義の標的が移民・外国人だけでなく、高齢者やその他の弱者にまで広がっている」と指摘する。
「排外主義は『内なる敵』を次々につくり出し、社会全体を萎縮させていく。排外主義の浸透は、マイノリティだけでなく、社会の構成員全体の権利や自由を脅かす可能性があるのだ」(読売新聞2025年10月27日付朝刊)
なんだか絶望的な気分が突き上げてくるが、有効な「次の一手」が浮かぶまで、この連載ではさまざまな専門家に話を聞く予定だ。
ということで、次回ご登場いただくのは、ドイツをはじめ、ヨーロッパのポピュリズムに詳しい板橋拓己さんである。

国民負担率
国民が、所得の中からどれだけ税金や社会保険料などの負担をしているかを示す数値。
