また、目標金額130万円に対して、達成率118%(153万8455円)を記録した「南米先史社会『シカン』の発展と衰退の謎を解明したい」プロジェクトでは、約1000年前に南米ペルーで栄えた幻の都市、シカンの現地発掘調査に同行できるリターンを用意しました。支援金15万円という高額ながら(しかも同行の旅費等は自腹です)、なんと3人の支援者が現れました。
このように、現役の研究者から直接、専門的な知識やマニアックな情報を得ることができたり、他にはない貴重な体験をできたりするリターンというのは、学術研究系クラウドファンディングならではの強みではないかと感じています。
今後は、挑戦者主催のサイエンスカフェを開くなど、オンラインからオフラインへという流れを充実させていきたい。これは、研究者や研究分野に対するファンのすそ野を広げる活動であり、理想とするアウトリーチ活動でもあるのです。
面白い研究者が集まるプラットホームに
「アカデミスト」では、年中無休で挑戦者を募集しています。大学や研究機関の研究者であり論文を書いた経験があれば、誰でも応募可能。研究者が「アカデミスト」で支援金を募るまでのプロセスは次の通りです。まず、挑戦する研究者には、サイトに掲載する研究内容の紹介文と画像、そして、動画の三つを用意していただきます。動画については、弊社のスタッフがあらかじめ研究内容をヒアリングし、台本を用意します。目標金額とリターンの内容に関しては、挑戦者と弊社で話し合いながら決めていきます。
最初のコンタクトからサイトへの掲載までの期間は平均2カ月程度ですが、最短では1カ月程度での掲載が可能。プロジェクトの掲載期間は原則60日で掲載費用は無料ですが、目標金額に到達した場合に限り、プラットホーム利用料として、達成金額の20%(決済手数料3.25%を含む)をいただいています。
これまで挑戦していただいた研究者の多くは「アウトリーチ活動の面からも、挑戦して良かった」といい、大きな手応えを感じています。
そもそも私が「アカデミスト」を立ち上げようと思った原点は、大学院生時代の2012年にさかのぼります。私の専門分野は理論物理学ですが、趣味でさまざまな分野の大学院生を集めて交流会を開催していました。専門分野の違う研究者の話を聞いてみると非常に面白い。そのうち、この面白い研究内容や魅力的な研究者を、より多くの人に紹介したいと思うようになったのです。面白い研究者が集まって、そこにいろんな人がアクセスし、応援するようなプラットホームをつくりたい! それを形にしたのが「アカデミスト」というわけです。
今後、「アカデミスト」が広く利用されることにより、日本の学術研究分野が抱えている課題の解決に貢献し、科学技術立国日本の未来を担う若手研究者の育成を支援していくことができればと考えています。