吉川 座屈が深い状態にならないよう注意すること、つまり、深いしわの原因となる表情グセを避けることが大切ですね。
加藤 確かに、なんとなく行っているスキンケアやヘアケアで、うっかり表情ジワを作っていることがありますからね。たとえば、ドライヤーを髪の後頭部にあてるとき、頭を下げたまま上目遣いで鏡を見ていることがありますが、これは額じわの原因になる悪いクセ! あと、マスカラをつけるときもあごを上げずに塗布すると、顔が下向きになり、やはり額や眉間にしわが寄ってしまうことに。こうした「うっかりしわ」は、加齢とともに深く刻まれてしまうということですね。
吉川 しかも、シミュレーションモデルでわかったのは、老化とともに表皮は薄く、硬くなり、真皮も紫外線などの光老化により肥厚化しながら硬くなってしまうという事実。だから、年齢を重ねるほどに、よりしわができやすい状態になってしまうのです。
加藤 化粧品の宣伝コピーで、「30代からの高保湿ケア」とありますが、年齢によって肌は硬くなってしまうということ。30代からは肌をふっくら柔軟に整えるべく、保湿ケアを充実させることが必要なのですね……。
肌のキメにも方向性が! 正しい向きにケアを!
吉川 スキンケアでいえば、肌のキメを整えることも大切です。キメにも必ず方向性があり、丸いキメというのはありません。必ず三角形だったり、表面はでこぼこしているものなのです。ただ、そういった凹凸があるからこそ、正しい形に整えることができるのです。
加藤 つまり、凹凸がきれいに整うことで、いわゆる「なめらかな美肌」に見えるということですね。
吉川 加齢によってキメが粗くなり、大きな溝ができてしまうと、それが深いしわの原因になります。だから、キメの方向を整えながら、上向きにあげていくことが大事です。
加藤 そう考えると、フェイスマッサージを行うときの下から上に、というのはキメを整える点でも理に適っていますね! 化粧水や保湿クリームを塗るときに、上から下へと手を動かして塗布する人がいますが、それは無意識のうちにしわやたるみを誘発しているということ! スキンケアを行うときは、下から上へと意識しながら行ったり、あごを少し上げながら塗布するようにする。なんとなく保湿ケアを行うのではなく、力学的な観点を念頭に置きながらスキンケアを行えば、エイジングケアの効果がさらに高まりそうですね。