プロデューサーの力
筆者が提唱する「ヒット学」の“6つのヒット法則”のその2「常に新鮮な驚きがヒットを生む」ためには、フォ-マットにこだわり過ぎないこと、そんな微妙なさじ加減こそが海外でAKB48のビジネスモデルが成功するかどうかの分かれ道となる。それを行うのがまさにプロデューサーの役目であり、AKB48輸出の成功の最大のポイントは、その国々で秋元康の代わりになりえるプロデューサーを見つけられるかどうかに尽きる。ビジネス・フォーマットを販売することは簡単だが、それを成功に導くためには、やはり優秀なプロデューサー(人)が必須というパラドックスが存在する。いずれにしても日本の芸能界の悲願であり、アニメやゲームに続く、クール・ジャパンの次世代コンテンツ産業として、大げさに言えば、国のGDPを上げる可能性を秘めるAKB48の海外進出である。成功を祈るとともに、ひとつの日本の製造業=ものつくりの姿を世界に見せるチャンスとして注目したい。
AKB48
エーケービーフォーティーエイト。女性アイドルグループ。AKB48は「会いに行けるアイドル」をコンセプトにプロデューサーの秋元康が2005年に立ち上げたアイドルプロジェクトで、オーディションによって選ばれた48人前後のメンバーが、秋葉原(AKB)にある専用劇場「AKB48劇場」で毎日ステージを行いながら、ファンとともに成長していくというもの。A、K、Bの3チームから構成されたAKB48のほか、チームに所属しない研究生や東海地方を中心に活動するSKE48といった姉妹グループも存在する。AKB48はシングルA面の楽曲に参加できる21人の選抜メンバーをファンの投票から選ぶ「AKB48総選挙」という企画を実施。2010年6月7日付オリコン週間シングルランキング首位に初登場した16枚目のシングル「ポニーテールとシュシュ」にはその投票券が封入された。同年6月7日の結果発表では、大島優子が1位、前回1位だった前田敦子は2位、1位を取ったら浅草サンバカーニバルに出演すると宣言した篠田麻里子は3位に、Aチームのキャプテン高橋みなみが6位に入った。
Web2.0
インターネットの利用者の全員がネットワーク社会に参加して、新たなサービスを作ろうという考え方、もしくは潮流を指す。
クール・ジャパン
「かっこいい日本」。ゲーム・漫画・アニメなどの日本の主にポップカルチャーが世界的に評価されていること。また、そのコンテンツを指す。
ジャパン・エキスポ
Japan Expo
毎年7月にパリで開かれる、日本のアニメやマンガ、ファッション、音楽などのポップカルチャーと伝統文化を紹介し、その関連商品を販売するイベント。
MIPCOM(ミプコム)
テレビ番組を中心に映像コンテンツを扱う世界最大級のエンターテイメント・コンテンツの国際見本市。コンテンツのプロデュース、共同制作、出資、売買、配給・配信など、コンテンツビジネスに関わる国際見本市として世界中から業界関係者が取引を求め集まる。会場はカンヌ国際映画祭と同じパレ・デ・フェスティバル。同様の見本市は年に2回開催され、秋開催が「MIPCOM」、春開催が「MIPTV」。