ローカルなゲームセンターでの小規模な大会ではあったものの、一つひとつの勝負にさまざまなドラマが生まれ、人間模様があった。もう一撃も相手の攻撃をもらうことができない状態からの大逆転劇で参加者から歓声が上がったり、チーム戦で組んだチームメイト同士で熱い友情が芽生える……といった場面もしばしば。こうして手弁当ながらローカルな大会を運営することも、私のライフワークの一つとなっていた。ゲームを通じて人と人が出会い、たくさんの人の笑顔が見られる瞬間を作りだすことにとてもやりがいを感じた。
その後まもなく、私自身も大会に参加するようになり、格闘ゲームを始めて1年半経ったころに大きな転機が訪れた。日本の男性トッププレイヤーに大会で勝利したのだ。その様子はインターネットを通じて世界中に発信されており、私は世界中の格闘ゲームファンに自身の存在を知ってもらうことができた。
その試合がきっかけで、私は海外のゲーム大会に来てほしいというオファーをもらえるようになり、それとは別にその後、今所属している北米のプロチームのオーナーからスカウトされた。こうして、私はプロゲーマーになった。運と縁がタイミングよく重なり、チャンスをものにすることができたのだ。ただただ毎日楽しんでいたゲームが、そうして仕事になったのである。
いま世界で「e-sports」が熱い!(2)へ続く。