法案や予算などの成立の阻止や抵抗の姿勢誇示のための議事妨害は、多くの国で見られるが、日本は国会の運営が全体的に対決型で、古くは物理的抵抗による乱闘国会もしばしばあった。最近でも1992年の通常会での社会党の牛歩戦術、96年の通常会での新進党の予算委員室の前での座り込み、99年や2004年の通常会での参議院(参院)での野党のフィリバスター(長時間演説)などがある。廃案を狙い審議の遅延を図るのは、より一般的な抵抗策で、このため与党による強行採決、野党の審議拒否もしばしば見られる。ねじれ国会では、不正常な抵抗手段としての議事妨害には含まれないが、参院での法案や国会同意人事案の否決や、その力を背景とした慎重審議、与党のスキャンダル追及の国政調査要求や集中審議などの要求も行われる。弁論の府に反する議事妨害は批判されるべきだが、議院の運営が与野党の折衝に委ねられている状況下で、数の優位に訴える与党の姿勢や、野党の弁論の機会を奪う複数法案の一括審議・一括表決などの国会ルールも背景にある。またこれらに共通する制度的背景として、国会の短い会期と会期不継続の原則が、与党の性急な国会運営と野党の議事妨害をもたらしていることも否定できない。