自由民主党(自民党)において政権奪取、権力追求を目的に集まった議員集団だったが、2001年の小泉政権発足以来、大きく変質した。1955年の結党時から長い期間、派閥リーダー(領袖)を中心にして総理・総裁を競い合ってきたため、近代政党に脱皮できず「派閥連合政党」として組織されてきた。これに対し最近の派閥の変質は、(1)小選挙区比例代表並立制の導入により1選挙区1候補となり、選挙時の派閥の効用が限定的となった、(2)政党交付金の導入により、政治資金の分配権が党執行部に集中している、(3)小泉首相の「脱派閥人事」により派閥領袖による人事推薦権が有名無実となった、などが挙げられる。2009年8月総選挙での自民党惨敗の結果、派閥所属議員も激減したうえに退会も相次ぎ、派閥の力は決定的に弱まった。12年12月総選挙で自民党が大幅に議席を伸ばし政権を奪還したのに伴い、各派閥も勢力を拡大した。15年1月現在、自民党の派閥には細田派、額賀派、岸田派、二階派、麻生派、石原派、大島派がある。石破茂幹事長が13年1月31日初会合を開いた「無派閥連絡会」は実質的な石破派との見方もあるなど、党内派閥図は流動化してきた。