鳩山由紀夫内閣において、「内閣官房に、税財政の骨格、経済運営の基本方針その他内閣の重要政策に関する基本的方針等のうち内閣総理大臣から特に命ぜられたものに関する企画及び立案並びに総合調整を行うために、当分の間」置かれることとなった機関(国家戦略室の設置に関する規則、2009年9月18日)。戦略室担当相には菅直人副総理が、室長には古川元久衆院議員が就任した。10年度予算に関しては、予算編成のあり方の改革について検討したり、予算編成の基本方針を作成したりして、関係する閣僚委員会に提出した。鳩山首相は、「国家戦略室を中心に官邸主導で予算編成を進めた」と自負したが、実際には、スタッフが足りないために、当初は予想されていた一般会計の歳入・歳出総額や国債発行額の提示など、予算編成の主導権はとれなかったといわれる。予算編成の支援のほか、戦略室は、TPP(環太平洋経済連携協定)や成長戦略をめぐる素案作りなどに携わっている。スタッフは各省庁や民間からの出向者で50人程度である。鳩山内閣は、その権限を拡張し、スタッフを大幅に増加させて、国家戦略局を創設する法案を10年の国会に提出した。しかし、野党の反対もあり、菅内閣の11年通常国会では局創設のための法案を取り下げた。国家戦略局の名称は、09年5月に小沢代表が辞意を表明し、その後任の代表選挙に立候補した鳩山由紀夫幹事長が、「友愛の日本を創る最重点政策」という公約の中で、「首相の下に国家戦略局を設置し、官民の優秀な人材を発掘・登用し、新時代の国家ビジョンをつくる。それを実現するための予算編成を政治主導で行う」と明言し、ここに初めて登場した。(→「国家戦略スタッフ」)