高速増殖炉(FBR)のブランケット(炉心燃料集合体を覆う燃料集合体)には、核分裂性プルトニウムの割合が98%を超える超核兵器級のプルトニウムが生まれる。そのため、核拡散を防ぐために、高速増殖炉技術は海外移転ができない。世界各国とも独自にその開発に取り組んできた。日本でも、高速増殖炉で核燃料サイクルを行う高速増殖炉サイクル(FBRサイクル)の研究が進められ、実験炉「常陽」、原型炉「もんじゅ」と開発を進めてきたが、いずれの炉も事故で停止中であるし、技術的、経済的な課題を抱えて、先が見えなくなった。そこで、国はこれまでの路線を転換し、新しい型の高速増殖炉開発計画を模索するようになった。それが「高速増殖炉サイクルの実用化研究開発プロジェクト」で、実用化戦略調査研究フェーズIIは、2006年3月に研究成果がとりまとめられた。経済性を改善するためにそこで提案された原子炉は従来の「もんじゅ」とは異なる型になり、それを実現するためには、ナトリウム冷却型の高速増殖炉に限っても13項目、さらに核燃料サイクルシステムに関連して12項目(再処理6項目、核燃料製造6項目)の壁を越えなければならない。