たとえば、「顔の見える電力」をユニークに打ち出しているのが「みんな電力」(東京都世田谷区)です。ここでは、市民・地域共同発電所の電源を優先して調達しています。買い取る側はその中から、自分が好きな発電所を選ぶことができます。それも、スマートフォンを使って簡単にできる仕組みになっていて、手軽に発電事業者を応援できる仕組みになっています。
福岡県みやま市が力を入れている「みやまスマートエネルギー」は自治体新電力の代表格ともいえる存在です。供給エリアはみやま市を中心とした九州電力管内で、同市内を中心に、太陽光発電の買い取りも積極的に勧めています。16年3月末には鹿児島県の肝付町と電源の相互融通で連携協定を結び、今後は小型水力発電の導入も期待されます。「みやまスマートエネルギー」には、他にも10以上の地方自治体から連携の要請があるとのことです。
また、「やまがた新電力」は県が主導で、県内の酒田市に風力発電を設置、公共施設への小売りをすでにスタートさせており、注目しています。電力の地産地消ともいえるこの取り組みは「ご当地電力」という呼び方もされています。
ただし、新規参入の場合、託送料金の支払いという問題があります。各家庭に電気を送るために使う送電線は既存の電力会社のもですから、使用量が発生するのです。この託送料金には原発の維持費も含まれています。
持続可能なエネルギー社会をめざして
FoE Japanも近々、電力会社の契約をパワーシフトで紹介している会社に変更する予定であり、今後も動向を注視していきます。パワーシフト・キャンペーンで紹介している電力会社はまだ少なく、実際に電気を供給できている会社はさらに少ないのが現状です。それでも、数カ月後の供給開始予定に向けて鋭意準備中の会社は、各地に多数出現してきています。
子どもたちの未来や地球環境を考えれば、今後、持続可能なエネルギー社会を目指すことに異議を唱える人はいないでしょう。
様々な調査でも、原子力発電所の再稼働に反対の人が多いことは明らかです。そう考えると、再エネを希望する人はかなりの数にのぼるはずです。そういった方々には、まずは大手電力からパワーシフトな電力会社や再エネ率の高い電力会社に切り替える、あるいはパワーシフトな電力会社に注目していただけたらと思います。
今後、数カ月から1年の間に、パワーシフトな電力会社の数は増えていきます。私たちは、再エネの電力を使いたいと考える人に、より多くの情報提供をしていきたいと考えています。電気は誰もが使うもの。電気料金をどこに支払うかをきちんと考えながら、再生可能なエネルギーの未来をつくるムーブメントをつくっていけたらと思います。