図4 1カ月間の売り入札削減
その結果、この時のJEPX市場は電力が「品薄」となって売り切れ状態が多発し、7割程度の新電力しか約定できなかった。電力不足は買い手の責任ではないが、それでも電力が買えなければ、購入予定分が丸ごとインバランスになる仕組みだ。しかもインバランス料金は市場価格がベースになるので、価格が高騰すればインバランス料金も跳ね上がる。このため、大量のインバランスの発生は、新電力側の仕入れコストをますます押し上げた。
新電力はそもそも、JEPX市場に電力があることを信じて買いに来ているのであり、そこに売り物を並べていないのは市場管理者のミスである。まず市場管理者の責任を問うべきであり、市場を信じた客である新電力に責任を転嫁するのはおかしい。そのような市場は信頼されなくなり、やがて誰にも使われなくなる。
JEPX市場を使う新電力も、電力価格をつりあげた一面はあるが、JEPX市場の不備によって生み出された電力不足に振り回されたあげく、罰金のようなインバランス料金に苦しめられた側である。再エネ新電力を含め、ほとんどの新電力は被害者であるとわかるだろう。
後編では、JEPX市場の何が不備なのか解き明かしてみよう。
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※2021年4月30日には、「総合資源エネルギー調査会、電力・ガス事業分科会、電力・ガス基本政策小委員会」が、昨冬の市場価格高騰に対する「検証・中間取りまとめ」を発表した。この原稿の基礎はその前に書いたため、「検証・中間取りまとめ」との齟齬がないかを確認し、一部で書き換えた部分もある。大部分は、問題なくそのままとした。(筆者)