政治とカネをめぐる事件は後を絶たない。戦後の昭電疑獄事件から2024年の自民党の政治資金パーティをめぐる裏金問題まで、主な事件とそれらによって政治資金規正法がどのように変わってきたのかを年表にまとめた。(※肩書は逮捕当時。起訴のみの場合は起訴当時)
政治資金規正法の成立と大疑獄事件
1948年 昭電疑獄事件 芦田均内閣
復興金融金庫の融資をめぐる昭和電工と政官界との贈収賄事件。昭和電工は48年までに復興金融金庫からおよそ23億円の融資を受けたが、その融資を受けるにあたって約1億円に上る金品を政府高官や復興金融金庫の幹部らに贈った。前副首相の西尾末広の逮捕を受けて芦田均内閣は総辞職した。逮捕者64人(うち起訴37人)。
- 起訴された政治家
- 栗栖赳夫経済安定本部長官(懲役8カ月、執行猶予1年、追徴金150万円)
- 芦田均前首相(無罪)
- 大野伴睦元自由党幹事長(無罪)
- 西尾末広前内相/社会党書記長(無罪)
- 川橋豊次郎衆院議員(無罪)
- 北浦圭太郎衆院議員(無罪)
1948年 政治資金規正法(以下、規正法)制定
連合国軍総司令部(GHQ)の指令により制定。政治活動の公明と選挙の公正を確保することを目的として、政治団体の政治資金の収支を公開することに重点が置かれていた。各団体の会計責任者が、寄付などの収支について帳簿へ記載する義務を負っており、不記載や虚偽記入があれば、原則として会計責任者の責任が問われる。政治団体の代表者である政治家は、会計責任者の監督について相当の注意を怠った場合、罰せられる。なお、この時点の規正法では、寄付金の上限は定められていなかった。
1954年 造船疑獄事件 吉田茂内閣
政府の計画造船における適格船主の選定や外航船舶建造融資利子補給法案をめぐる海運・造船業界と政官界との贈収賄事件。自由党幹事長佐藤栄作の逮捕決定の翌日、犬養健法相が指揮権(検察庁法14条)を発動して佐藤の逮捕延期を指示(犬養はその翌日法相を辞職)。逮捕を免れた佐藤は、その後政治資金規正法で起訴されたが、指揮権の発動によって捜査は挫折し、事件の真相は解明されなかった。逮捕者71人(うち起訴34人)、政官に流れた資金は2億7000万円以上。
- 起訴された政治家
- 佐藤栄作自由党幹事長(1956年国連加盟による恩赦で免訴)
- 有田二郎衆院議員(懲役2年、執行猶予3年、追徴金27万円)
- 関谷勝利衆院議員(懲役1年、執行猶予2年、追徴金25万円)
- 岡田五郎衆院議員(懲役10カ月、執行猶予2年、追徴金35万円)
- 加藤武徳参院議員(無罪)
政党
所属国会議員が5人以上、あるいは、前回の衆議院議員選挙または前回か前々回の参議院議員選挙のいずれかの全国を通じた得票率が2%以上の政治団体
政治資金団体
政党へ資金援助するために政党が指定する団体。例:一般財団法人国民政治協会[自民党]
資金管理団体
政治家個人が政治資金を受け取るための団体。自身が代表を務める政治団体の中から一つだけ指定する