1966年 黒い霧解散 佐藤栄作内閣
共和製糖が政府から巨額の不正融資を受けてその一部を政治献金していた「共和製糖事件」や、国有地の払い下げなどをめぐる閣僚らの相次ぐ不祥事に対して、「黒い霧」として政治的腐敗への批判が高まった。それを受けて66年末に佐藤内閣は衆院を解散したが、翌年の総選挙で過半数を維持し第二次佐藤内閣を発足させた。
66年の第5次選挙制度審議会は、個人・企業・労働組合その他の団体の政治献金についての規正を答申。
政界を揺るがした大事件と金権政治批判の高まり
1974年 田中角栄首相が、金脈問題で退陣。公共工事の予定地を事前に購入し、それを高値で売って不当な利潤を得ていることを週刊誌に報じられ、批判が高まった。
1975年 規正法改正
金権政治への批判を受け、政治資金を規正することを目的に、個人や企業・団体からの献金に対して寄付限度額(上限額は企業や団体の規模によって変動)を設定。また、2年続けて収支報告を怠った政治団体は無効になると定められた。なお、参加費用を徴収して政治資金を集める「政治資金パーティー」には限度額が設定されなかった。
1976年 ロッキード事件 三木武夫内閣
アメリカのロッキード社の航空機購入にからむ国際的な贈収賄事件。2月にアメリカ上院外交委員会でロッキード社副社長らが日本への贈賄について証言し、日本でも問題となった。事件当時に首相だった田中角栄が、職務権限によって同社の大型旅客機〈トライスター〉や戦闘機F-15、対潜哨戒機P3Cの3機の購入を約束し、5億円のわいろを受け取ったとして逮捕・起訴。またロッキード社は、丸紅、全日空、児玉誉士夫の3ルートを通じて総額30億円超のわいろを自民党の現職国会議員や政府高官に贈り、計16人が起訴された。
- 起訴された政治家
- 田中角栄前首相(二審で懲役4年、追徴金5億円の判決を受け上告したが、93年死去により公訴棄却)
- 橋本登美三郎元運輸相(二審で懲役2年6カ月、執行猶予3年、追徴金500万円の判決を受け上告したが、90年死去により公訴棄却)
- 佐藤孝行元運輸政務次官(懲役2年、執行猶予3年、追徴金200万円)
1980年 規正法改正
政治家個人に対して収支報告を義務化。
1988年 リクルート事件 竹下登内閣
リクルート社が、値上がり確実な子会社の未公開株をわいろとして政官財各界の要人に譲渡した贈収賄事件。宮澤喜一蔵相、長谷川峻法相、原田憲経済企画庁長官など閣僚が辞任し、89年6月竹下登内閣が総辞職した。収賄容疑で国会議員ら12人が起訴された。
- 起訴された政治家
- 藤波孝生元官房長官(懲役3年、執行猶予4年、追徴金4270万円)
- 池田克也衆院議員(懲役3年、執行猶予4年、追徴金1835万円)
1992年 東京佐川急便事件 宮澤喜一内閣
東京佐川急便の旧経営陣らが暴力団系企業への債務保証や政治家への巨額献金を行っていた特別背任事件。起訴総額は952億円。金丸信元自民党副総裁が5億円の献金を受け取り、政治資金規正法違反で当時の罰金上限だった20万円の略式命令処分を受けたが、刑罰の軽さに世間からの批判が高まり、議員辞職。その後金丸は多額の脱税容疑で起訴された。金丸が会長を務めていた自民党最大派閥の経世会(竹下派)が分裂し、55年体制崩壊の契機に。
- 起訴された政治家
- 金丸信元自民党副総裁(政治資金規正法違反:罰金20万円 所得税法違反:96年死去のため公訴棄却)
- 金子清前新潟県知事(懲役1年、執行猶予3年)
政治改革と企業・団体献金の規制強化
1992年 規正法改正
政治資金による株式購入を禁止。
1994年 政治改革により規正法大幅改正
企業・団体からの献金は、政党・政治資金団体・資金管理団体に限定し、政治家個人への献金を禁止。5万円以上の寄付と、20万円超の政治資金パーティー券購入者は名前を公表するなど、収支報告書の公開基準を厳格化。企業・団体からの献金で有罪が確定した場合、公民権停止に。
1995年 政党交付金(政党助成金)制度始まる
企業や団体からの政治献金を規制するかわりに、国民が1人あたり年間250円を負担して政党の政治活動を支える仕組み。議員数・得票数などに応じて各政党に割り振られる(共産党は同制度に反対して受け取っていない)。政治活動の自由を確保するため、政党交付金の使い道については、制限されていない。
1999年 規正法改正
資金管理団体への企業・団体献金禁止。
政党
所属国会議員が5人以上、あるいは、前回の衆議院議員選挙または前回か前々回の参議院議員選挙のいずれかの全国を通じた得票率が2%以上の政治団体
政治資金団体
政党へ資金援助するために政党が指定する団体。例:一般財団法人国民政治協会[自民党]
資金管理団体
政治家個人が政治資金を受け取るための団体。自身が代表を務める政治団体の中から一つだけ指定する