あわせて、強く必要性を感じるのは、政府からも独立し、独自の調査権限を有する国内人権機関の設置です。人権侵害を受けた人が被害を訴えやすくするだけでなく、そこが主軸となって、人権に関する教育や啓蒙活動を行っていく。多くの国々ではそうした人権機関が存在しており、フィリピンなどではその機関の職員たちがジープに乗って山奥まで啓蒙活動に走り回っている、だからどんな田舎の小学校にも「人権」という言葉が掲げられていたりするという話を聞きました。日本もこうした人権機関を「遅延なく設置するように」と、何度も国連から勧告されていますが、政府はここでもそれを無視し続けています。
それでも、各地でいくつものNPOや市民グループ、弁護士グループなどが、国内人権機関設置を求めて声をあげ始めています。貧困、教育、表現の自由、女性差別や外国人差別……人権は、あらゆる社会問題に関係するクロスカッティング(分野を超えた)な問題ですから、ふだんは別々の問題に取り組んでいる人たちも足並みを揃えて団結していく必要がある。そう強く感じるし、そのために私自身もさらに声をあげていきたいと思っています。
各種の国際人権条約
主な国際人権条約は9つある。
経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約(社会権規約)1966年
市民的、政治的権利に関する国際規約(自由権規約)1966年
人種差別撤廃条約 1965年
女性差別撤廃条約 1979年
拷問等禁止条約 1984年
子どもの権利条約 1989年
すべての移住労働者とその家族の権利保護に関する条約(移住労働者権利条約)1990年
強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(強制失踪条約) 2006年
障害者権利条約 2006年