テレビやインターネットなどで伝えられるガザの惨状に、「知らなかった」と新たに関心を抱く人は多い。Amal for Gazaに寄付をしてくれる人、北村さんの講演会などに足を運んでくれる人も増えている。それを心強いと感じる一方で、「時間が経てばすぐに忘れ去られるのではないか」という危機感もあると北村さんは言う。これまで、大規模な戦闘などが起こるたびに関心が集まり、けれどそれは一時の熱で終わって、決して平和になったわけではないガザが置き去りにされる──という構図を、何度も目にしてきたからだ。
「でも今回、あれだけ破壊し尽くされてしまったガザで、もう一度人々が生活を取り戻すには、何十年というスパンで考えなくてはおそらく無理でしょう。現地に入ることはできなくても、今はSNSなどを通じて情報を得たり、ガザにいる人たちとつながったりすることもできる。そうしたつながりを通じて、なんとかこの先も多くの人たちに、ガザに心を寄せ続けてほしいと思っています」
寄付をしたり、デモに行ったりするだけではない。SNSでガザに関する投稿を拡散する、パレスチナの国旗をかたどったピンバッジを身につける、友人との会話の中で、朝見たニュースを話題に出してみる……やり方はいくらでもあると北村さんは言う。自身も、手仕事を通じてガザの女性たちに思いを馳せる「刺繍ワークショップ」という新しい試みを始めたところだ。
一人でも多くの人に、日常の中で自分にできることを見つけて行動に移してもらえたら、少しでも世界は変わっていくのではないか──。そんな思いを込めて、北村さんは、SNSにこう書いた。
「私は私のやり方で、ガザの女性たちを守ります。
みなさんは、みなさんの場所で、みなさんのやり方で、ガザのために行動して下さい。ガザと繋がっていて下さい。
私たちは無力じゃない」