世界には、すでに児童ポルノ根絶に向け、日本より一歩も二歩も進んだ取り組みを行っている国もあります。例えば、カナダは単純所持を禁止する法律ができてから、サイバー捜査などを徹底させて取り締まりを強化。ヨーロッパ諸国も、単純所持の取り締まりにEU共通基準を設けるなど積極的です。日本も児童ポルノ禁止法の改正により、15年7月からようやく単純所持も処罰の対象となりました。が、先行きはまだまだ険しいでしょう。子どもの性には商品価値があり、大きな利益を出す商品になる、子どもに自己責任がある、と考える大人も少なくないからです。
いくら成熟しているように見えても、子どもは自らを守る術(すべ)を持っていません。今一度、日本の子どもたちの将来を、どうしたら性的搾取から守れるのかをよく考えてほしいと思います。
児童買春・児童ポルノ禁止法
児童買春や児童ポルノにかかる行為等を規制・処罰し、児童の保護や権利擁護を行うための法律。正式名は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」という。1999年5月に公布され、同年11月に施行された。2004年には法定刑の引き上げや処罰範囲の拡大などの改正が行われ、14年には児童ポルノの定義の厳密化、および単純所持の刑事罰などを加える改正が行われた。この改正法は15年7月15日から施行され、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した者(単純所持)は、第7条第1項に従い1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる。