私は今回「勇気ある女性賞」をいただきましたが、本来この賞は途上国の女性たちが受賞するもので、先進国の女性が受賞すること自体が珍しいことだそうです。それでも、アメリカ国務省やアメリカ大使館、アメリカのメディアの方たちがマタハラは重要な人権侵害であり、経済問題でもあると認め、日本における女性・人権問題を解決しなければいけないと応援してくれたお陰で、この受賞となりました。欧米の社会から見て、日本の女性たちの置かれた職場環境がそれほど立ち遅れているということでしょう。
しかし、これからもっとも勇気を出さなければいけないのは企業です。年功序列で長時間労働という、全員が同じやり方をしてきた職場環境を変える勇気を持ってほしい。高度成長期から続くやり方から脱却し、ダイバーシティ(多様性)を取り入れることはこれからの企業における重要な経営戦略となるはずです。
マタハラNetの活動は、女性たちのバトンリレーです。前の世代の女性たちが男性並みに働いて、渡してくれたバトンがあるからこそ、今こうして私たちが社会に出られるようになりました。その女性たちに感謝し、私たちの手にバトンがあるうちに、妊娠、出産、介護などがあっても安心して働き続けられる環境を作り、次の世代にバトンを渡さなければいけません。
働き方や人の意識を変えることは容易ではありませんが、大きな川の流れが変わるように、この流れは変えられます。そのためにも、私たちが声を挙げ続けていかなければと思っているのです。