これは、我々がなぜNPOとして活動しているのかという、理論的な支柱にもなっている考え方です。
そこで、新しい事業展開としては、これまで海外に目を向けてきた留職プログラムを、今後は国内でも展開していく予定です。環境問題への対策や高齢化問題への対応など、日本は、世界に先駆けていくべきことがたくさんあります。日本人の創意工夫には素晴らしいものがあり、国内留職はそれらを学ぶ良き機会にもなることでしょう。
「仕事」から「志事」へ
我々は当初、留職の成果としてリーダーシップの開発をベースとしていました。それにグローバル人材育成というエッセンスを加えていたつもりなのですが、企業側からみると、グローバル人材育成のほうに関心が高かったように思います。その後は、リーダーシップの方に重きを置いて導入していただくようになっています。リーダーシップの開発という点で考えると、留職先が海外でなければいけない理由はありません。たとえば、宮城県女川市は、様々な社会課題を解決しようと、NPOが元気に活動している地域です。そうした社会課題に取り組んでいる地域にはたくさんのリーダーがいて、学ぶべきことがたくさんあります。その価値をしっかり伝えることも我々の役目だと思っています。企業側からも、国内への留職に興味があるという声も聞かれ、今年1月には、「地方創生フィールドスタディin女川」を実施、現地の視察やNPO法人や行政担当者などとの交流・意見交換を行いました。
留職に参加した人たちの報告を聞くと、帰国後、自らと、会社の仕事と、社会がつながっていることをしっかり認識してお仕事をされていると感じます。そうした認識を持てば、自分の仕事が好きになり、自分が本当にやりたかった仕事はこれだったと強く思うようになっていきます。私はこうした思いでする仕事を「志事(しごと)」と呼んでいます。
我々が考える解決すべき社会課題の一つに、大きな組織の中で働きがいを失っている人がいることがあります。自分の仕事を「志事」と考えられるようになることは、働きがいに即決します。これが企業の発展にもつながることをもっと伝えていきたいですね。
クロスフィールズはまだまだ小さな組織です。しかし、これまでやってきた世界に閉じることなく、新しい挑戦を続けていくことが、まもなく設立5年を迎える我々のステージであり、これまでお世話になった方々、ご協賛いただいた各企業への恩返しかなと思っています。