ダイバーシティは経営戦略になる
マタハラNetを立ち上げた当初から「マタハラ問題は働き方の問題」だと言い続けていますが、マタハラ防止の取り組みをきっかけに、本当の意味で「ダイバーシティ」を推進することをさらに強く訴えていくつもりです。ダイバーシティとは、多様な人材を積極的に活用しようという考え方ですが、今の日本の企業においては、ダイバーシティ人材は「お荷物」であり、その他の社員の負担を増やすだけの存在のように思われています。しかし、子育てをしながら働く女性をはじめとしたダイバーシティ人材がいることは、新しい制度を作るきっかけとなるほか、新しい視点により周囲の人たちにも良い影響を与えるなど、組織としての成果につながるはずです。これは企業の経営戦略として取り入れていくべきことだと私は思います。
ダイバーシティを推進するには、人事制度の改善が欠かせません。人材の育成やダイバーシティ人材のフォローをしたことが評価の対象となり、給料に直結するような人事評価制度にしていく必要があるのです。具体的には、育児や介護などで社員が減って負担が増えた分の人材補充ができないのならば、抜けた社員の分の給料を分配することなども考慮していきます。
マタハラ防止措置により企業側の運用負担が増すこともありますが、義務だからやるのと、経営戦略としてやるのでは、まるで違います。この防止措置が広がり、きちんと運用されるようになれば、マタハラだけでなくパワハラや、家族介護をする人に対するケアハラ、子育てをする男性へのパタハラなどあらゆるハラスメントが改善されるでしょう。そしてその結果、時間的制約のない男女を含むすべての人にとって働きやすい職場環境が浸透することで長時間労働が是正され、真の意味でのワークライフバランスの実現に近づくのではないでしょうか。