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このようにコロナ禍は、外国人労働者たちにも大きな影響を与えています。
ただ、その一方で、前述したように技能実習生が日本に来られなくなったために野菜が高騰するなど、外国人労働者がどれほど日本の産業を支えているのかということを、つまり、「メイドインジャパン」や「地産地消」を誰が支えているのかを多くの人に知らしめることにもなりました。
もはや彼ら彼女らの労働力なしでは、持続可能性がない社会であることは歴然としています。今回、新型コロナウイルスによって、日本社会の様々な産業のこれからの「担い手づくり」をあらためて考える機会、つまり、移民政策を正面から考える機会が訪れた、と言えるでしょう。
日本に大勢の外国人労働者がいることに不安を感じたりする人もいるかもしれません。ただ一方で、日本から海外に出て長期滞在したり永住資格を持って暮らしている人も、140万人もいるのです(外務省「海外在留邦人数調査統計」2018年)。そうした海外在留邦人の人権や、労働者としての権利が守られてほしいと、ほとんどの日本人は望むのではないでしょうか。それと同様に、日本にいる外国ルーツの人たちの人権や、労働者としての権利も、守られねばならないはず。外国人労働者も、日本人と同じ公的救済を受けられるようにすべきです。
そして、移民、外国人労働者を「よそ者」とみなして排除したり、単なる「期間限定の使い捨て労働力」扱いしたり、「一時的に日本に来ているだけのお客さん」などと捉えるのではなく、「共に、この社会を築いていく仲間だ」と捉えていくことが大切だと、私は考えます。
*移住連は、政府へ要請を行うとともに、今後の支援体制を準備しています。関心がある方は、以下の要請と緊急アピールを、参照してみてください。
・新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた緊急共同要請
・新型コロナウイルス流行にともなう緊急アピール
派遣切り
派遣労働者として働いている人が、契約の途中で打ち切られたり、契約期間が満了となっても更新されずに雇い止めとなったりした場合に「派遣切り」と言われることが多い。
ニューカマー外国人労働者
日本が植民地として支配していた地域から、戦前戦中に連れてこられた人たちを「オールドカマ―」と言うのに対し、1980年代以降に来日し長期滞在する人たちのことを指す。