「ほんとうにまじめに生活をしている仮放免者、個人的にいえば、日本人の配偶者がいる仮放免者はとくにそうなんですけれど、やっぱり、在留を認めてほしいです。永住権を取るとか、帰化するとか、そのへんはまた別の話ですけど、最低限の在留を認めてほしい。まずは社会的なこの土俵に乗せてもらいたい」
「その後に何か、たとえば不祥事だったり、何か問題を起こすようなことがあれば、そのときは処罰するのは当然のことなんですけど、今まで何年もこの国でまじめに暮らしを積み重ねていて、社会に対して問題をかけない、迷惑をかけない、犯罪も犯さないような人だったら、最低限の社会的土俵に乗せてもらいたいです。まず同じ立ち位置に乗せて、裁くのはそこからにしてほしい。初めから『いらない存在』と見ないでほしいですね」
その言葉に強くうなずいた。まったくその通りだと思った。まずは在留を認め、社会の一員として同じ土俵に乗せる。そうすれば本人も働けるし、税金も納められる。それで一体、誰が困るというのだろう。最初から外国人を犯罪者予備軍のように見て、ひたすら排除すれば問題解決するという入管の姿勢は、紛れもない差別であり、非合理的で、時代にも合っていない。
なのに今回の入管法改定案では、難民認定を申請して2回不認定になった者は強制送還ができるように排除の姿勢が強化されていた。夫のマモさんは、現在、4回目の難民認定の申請中で、最終の結果待ちの状態である。この法案が通ってしまったら、2人はどうなってしまうのか。
一人娘であるまゆみさんを案じ、それゆえに結婚に反対したこともあったまゆみさんの父は、一昨年の5月、入管法改定案が廃案になったあとに亡くなられた。母もその前年に亡くなられていた。深い悲しみと心細さを抱えるまゆみさんにとっては、今はマモさんだけが残された家族である。まゆみさんの心の奥から発せられた声を聴いてほしい。
「ほんとうに、マモが、もう私のたった1人の家族なので。唯一、1人。これでいなくなったら、私はほんとうに1人になってしまいます」
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