特に日本は、ブッシュ宇宙政策が打ち出された04年以降、月探査への傾斜を深めていたので、かなりの軌道修正が必要となるだろう。
ここで台風の目となるのは、有人宇宙船「神舟」を保有し、独自路線を行く中国だ。中国は11年に最初の宇宙ステーション「天宮1号」を打ち上げる。その後、何機かの宇宙ステーションの運用で技術を蓄積し、20年までにロシアの宇宙ステーション「ミール」のような、恒久的ステーションを建設するとしている。さらにその先には、30年までに有人月探査を実施するという構想も持っている。
先に月に戻るのはアメリカか中国か。あるいはアメリカが中国を尻目に、月以遠の有人探査を実施するのか。20年までには、両国とも現在の方針の成否がはっきりしているだろう。
ブッシュ新宇宙政策
2004年1月に、アメリカのブッシュ前大統領が発表したアメリカの宇宙政策。サブタイトルにEarth, Moon, Marsとあるように、月・火星有人探査計画。10年までに国際宇宙ステーションを完成させ、10年に引退するスペースシャトルの代わりに新宇宙船オリオンを開発する。オリオンを有人月・火星探査や、ISSへの乗組員往復に使う。08年までに月への無人探査車ミッションを実施し、15~20年までに月有人探査に復帰する。太陽系のさまざまな場所への無人探査ミッションを実施するなど。