PSTを日本発のグローバルスタンダードに
PSTは、まだ新しい技術ですが、ヨーロッパではメンタルヘルスにおける予防医学の切り札として導入を図る動きがあり、臨床を含めた実験が計画されています。一方で、日本が世界をリードし、ビジネスとして成功させていく萌芽も見え始めています。2013年9月、神奈川県、横浜市、川崎市は三団体共同で国家戦略特区に関する計画、「健康・未病産業と最先端医療関連産業の創出による経済成長プラン」を提出しました。実は、そのプロジェクトの一つにPSTによる医療相談支援システム「心のレントゲン」の構築が含まれました。神奈川県ではPSTを使った新規ビジネスの創生を積極的に支援し、世界的な市場を形成していこうとしています。さらに、最近では、PSTは心の問題以外にもさまざまな医療分野に応用できるのではないかと考えられるようになってきました。たとえばパーキンソン病に特徴的な引っかかるような声(吃音〈きつおん〉)や、脳梗塞の一部にみられるかすれ声(嗄声〈させい〉)といった傾向がわかってきたので、それを検知することにより病気を早期に発見したり治療の効果を判定できるかもしれないのです。また、血糖値が高くなると寝息が乱れることがあるので、就寝中の呼吸音やイビキなどの音から糖尿病を診断できる可能性もあります。「心のレントゲン」を目指して開発を始めたPSTでしたが、将来的には心だけでなく身体のさまざまな症状を調べる切り札になっていくかもしれません。