ケータイ写真の独自性とは?
趣味でケータイ写真を撮り始めて、かれこれ3年半の月日がたちました。キッカケは、ブログを書き始め、文章の補完として写真が不可欠だと感じたこと。当時はコンパクトデジカメも持っておらず、たまたま手元にあった130万画素のCCDカメラ付きケータイで半信半疑で撮ってみたら、意外と自分の感性にフィットした写真になりました。その時に感じたビビッドな感動が持続していて、今でも飽きずにケータイ写真をメインに撮っています。コンパクトデジカメも並行して使うようになってみて、ケータイ写真の独自性を再確認したことも、ケータイ写真を撮り続けるモチベーションになっています。
では、ケータイ写真の独自性とは何でしょう?
それはまず、いつも自分のかたわらにあるケータイカメラは、日々の生活の中で発見した感動的な“決定的瞬間”を撮るチャンスに恵まれやすいということです。
ケータイ写真を撮るようになって一番良かったこと、それは、花や季節感のある風景といった、日々の移り変わりや身近なものに敏感になったということ。大人になるにつれて鈍くなっていた感覚がよみがえりました。こういった感覚は、俳句を詠(よ)む習慣でもない限り、忙しい生活の中ではないがしろにされがちですが、精神生活に潤いをもたらすものだと気づきました。人生に有形無形のヒントを与えてくれるように思えます。
さらに、もともと電話ですから、通信機能で世界中のどこからでも、その時の感動を収めた1枚を、家族や友人に即座に送ることができます。みなさんも、こうした感動を気軽に味わうことができるのです。
ケータイ写真の基本の「き」
まず、撮影する前に気をつけたい、ケータイ写真の基本の「き」を紹介します。(1)撮影サイズはVGA(640×480ピクセル)以上、できれば最高画質に設定する。そのため、使用機種に合った記録メディア(マイクロSDカードなど)を利用して、画像はパソコンなどに保存します。
(2)手ブレには気をつける。小さくて軽いケータイはブレやすいので、片方の手でストラップを引っ張ってブレを抑え、その状態を保持します。
デジタルカメラは、フィルムカメラで必要な「シャッタースピード」「絞り」「フィルム感度」という、像を結ぶための約束ごとを意識する必要がありません。それらを気にすることなく、撮影モードを選んだり、ホワイトバランスや明るさを調整したりするだけで、自分のイメージにぐっと近づくことができるという手軽さがあります。
お手元のケータイカメラを確かめてください。機種によって名称は異なりますが、最近のケータイカメラには、こうした機能が付いたものが増えています。最低限の機能でも、上手に使えばデジタルの長所を十分に楽しむことができます。
写真にとって最も大切なのは、撮りたい瞬間に好みの構図で収めること。そのためにも、時間のかかるカメラの設定は必要最低限で済むにこしたことはありません。そうした意味でも、ケータイカメラは、まさに“決定的瞬間”を収めるために最適だと言えます。
ぼくは、自分の撮り方や機能のバリエーションを“撮影ア・ラ・モード”と呼んで、被写体やイメージにあわせて使い分けています。いくつかの作品を見てみましょう。
“決定的瞬間”を収めるためのヒント
“モノクローム”で撮る「CASE OF STAIR SHADOWS」
これは、撮影モードを“モノクロ”に設定しています。モダンな鉄骨の階段とその影が織りなす構図、まるでエッシャーのだまし絵のようですが、モノクロ写真には、このようにもともと色味が少なく、コントラストが効いたグラフィカルな被写体がとても似合います。
“ブルーシフト”で撮る
「THE TWO INTO OCEANUS」
「EIFFEL TOWER IN BLUE」
ブルーシフトという名称は、自分で命名しました。日中の屋外でホワイトバランスを「電球」にすると、モニターに映る世界はすべて青に染まります。「EIFFEL TOWER IN BLUE」は早朝に撮ったパリのエッフェル塔。ブルーには心の沈静効果があると言われますが、このトーンが織りなす不思議な世界観に魅了される方は多いようです。
“接写”で撮る
「YELLOW ON YELLOW」
黄葉したイチョウを背景に、秋の小さなヒマワリを撮った一枚です。温暖化の影響でしょうか、夏の花であるヒマワリと秋のイチョウの黄色の重なりに、いまどきの季節感を感じてシャッターボタンを押しました。ケータイカメラの場合、接写する時は小さな被写体の方がシックリときます。接写の持ち味は、被写体に寄ることでそのディテールが際立つだけでなく、背景がプロっぽくキレイにボケること。
ケータイ写真のだいご味は、カメラの小ささを生かした自由な構図で撮ることです。気になる被写体を見つけたら、必要最低限の設定で、背景のことも気にかけながら、お好みの構図で撮ってみましょう!
また、ケータイ写真も十分にプリントに堪えます。自分でプリントをして、額装して部屋に飾ることをオススメします。プリントをするとモニターで見たよりも多くの情報量が記録されていることに気づき、撮った時以上の感動がわき起こること間違いなしです。ぜひ、お試しあれ!