「バグパエリア」
「ミールワームとチーズの春巻き」
「カイコのニョッキ」
「イナゴのおこわ」
「はんぺんチーズのミールワーム揚げ」
現代人は、美味しさをグルメ情報に依存していると言われている。したがって食材と見なされていない昆虫には、おいしさのスタンダードがないのだ。自分の五感を磨き、それらを総動員し、新たな食材に挑戦し、おいしさを自分で創造することが、昆虫食の大きな魅力と言えるのではないだろうか。
「バグパエリア」
■おすすめポイント
グランプリ受賞作品。ベースは日本伝統のハチの子飯であり、そのうま味がだしとなっている。旬の虫をトッピングし、季節感を演出できる。パエリアは本来エビなど「海の虫たち」を具材とするのに対し、「陸の虫たち」を使うという発想が面白い。ちなみにイナゴは江戸のころ「陸(おか)エビ」と呼ばれた。
■材料 (4人分)
アルゼンチンモリゴキブリ:8頭、タイワンツチイナゴ:8頭、ハチの子:200g、米:2カップ、にんにく:1片、玉ねぎ:中1個、プチトマト:8個、さやいんげん:8本、黄色パプリカ:1/2個、サフラン:少々、水:2カップ、オリーブ油:大さじ3、揚げ油:適量、塩:小さじ1、こしょう:少々、レモン:適量
*トッピングする虫は好みで自由に変えてよい。
■作り方
1:米は洗ってざるに上げ、水気をよく切る。にんにく、玉ねぎはみじん切りにする。プチトマト、さやいんげんは半分に切り、黄色パプリカは種を取って、2cmくらいの角切りにする。サフランと水を合わせておく。
2:アルゼンチンモリゴキブリとタイワンツチイナゴはカリッと素揚げし、いったん取り出す。
3:フライパンにオリーブ油を熱し、にんにく、玉ねぎを炒める。玉ねぎの色が透き通ったらプチトマトを加え、さらに炒める。
4:3に米を入れて炒める。米が熱くなったら、サフランとサフランの色が出た水、塩、こしょうを加え、さっと混ぜてから平らにならす。ハチの子、さやいんげん、パプリカを並べ、1分ほど沸騰させてから蓋(ふた)をして、弱火にして炊く(約15分)。
5:炊き上がったら火を止めて、2で取り出しておいたゴキブリとイナゴを戻し、もう一度蓋をして蒸らす(約3分)。
6:フライパンのままテーブルへ。レモンを添える。
(トクノサトシ・作)
「ミールワームとチーズの春巻き」
■おすすめポイント
入賞作品。小鳥や小動物の餌として入手しやすいミールワーム(ゴミムシダマシの幼虫)で手軽に作れ、調味料を変えることで味と香りのバリエーションがいろいろ楽しめる。
■材料(4人分)
ジャイアントミールワーム:40頭、春巻きの皮:8枚、とろけるスライスチーズ:8枚、ゆずこしょう:適量、大葉:8枚、揚げ油:適量
■作り方
1:ミールワームを洗い、水気を取る。
2:1をカリッとなるよう素揚げし、取り出して油を切っておく。
3:(ゆずこしょう巻き)春巻きの皮にゆずこしょうを塗り、スライスチーズを載せて2を5頭並べ、風呂敷包みにする。
:(大葉巻き)春巻きの皮に大葉を敷き、スライスチーズを載せて2を5頭並べ、風呂敷包みにする。
4:油で程よくきつね色になるまで揚げる。
5:ミールワームが見えるよう中心でカットし、練り梅もしくはケチャップを添えて盛りつける。
(吉崎 将・作)
「カイコのニョッキ」
■おすすめポイント
入賞作品。カイコ繭(まゆ)が桑の葉クリームの海に浮かぶ絵をイメージ。カイコ繭に似せたニョッキもかわいい。桑の葉を混ぜることでカイコの生態を伝え、練りこんだ栗のほのかな香りが、秋を演出している。
■材料 (4人分)
(ニョッキ)生カイコサナギ:30個、薄力粉:200g、生栗:適量、玉子:1個、塩:少々
(ソース)ゴルゴンゾーラチーズ:適量、桑の葉パウダー:適量、生クリーム:200cc
(トッピング)カイコサナギ:4個、クルミロースト:少々
■作り方
(ニョッキ)
1:カイコをゆでて外皮など食べづらい部分を取り除く。
2:栗をゆでてすり潰す。
3:薄力粉、玉子、栗、塩を加えてまとまるまでよくこねる。
4:カイコ繭と同じくらいのサイズに生地を取って丸める。
5:鍋に湯を沸かして4を入れ、浮いてくるまでゆでる。
(ソース)
6:手鍋にゴルゴンゾーラチーズと生クリームを入れ、ゆるやかに加熱しながらよく混ぜ、水で溶いた桑の葉パウダーを加えて混ぜる。
(仕上げ)
7:ゆで上がったニョッキにソースをかける。砕いたクルミを散らし、殻付きカイコサナギを添える。
(はやまあきふみ・作)
「イナゴのおこわ」
入賞作品。イナゴは稲作とともに歩んだ日本の食文化に欠かせない。イナゴと米の相性は抜群。
■材料(4人分)
イナゴ:30g、もち米:2合、にんじん:50g、干ししいたけ:10g、砂糖:大さじ1、しょうゆ:大さじ2+1/2、酒:大さじ3、みりん:小さじ1、塩:適量、ごま油:適量
■作り方
1:イナゴはよく洗い、後ろ足と翅(はね)を取り除き、胸の真ん中当たりで切る。
2:1のイナゴを鍋に入れ、ごま油で炒めてから、ひたひたの水に砂糖(大さじ1)、酒(大さじ1)、しょうゆ(大さじ2)、みりん(小さじ2)を加え、煮立ったら弱火にし、水気がなくなるまで煮詰める。
3:もち米を洗い、15分以上おいて水気を切る。
4:干ししいたけを水で戻す。
5:しいたけ、にんじんを切る。
6:炊飯器にもち米、しいたけの戻し汁、しょうゆ(大さじ1/2)、酒(大さじ2)、塩(小さじ1/2)、適量の水を入れ、2のイナゴ(トッピング用に頭部を適量取り置く)と5の具材を加えて炊く。
7:炊けたら軽く混ぜ、器に盛りつけ、取り置いたイナゴの頭部をトッピングする。
(石倉卓也・作)
「はんぺんチーズのミールワーム揚げ」
■おすすめポイント
入賞作品。衣にしたミールワーム(ゴミムシダマシの幼虫)のサクサク感と中身のチーズのとろとろ感が絶妙。
■材料(4人分)
ジャイアントミールワーム:80頭、はんぺん大判:2枚、とろけるスライスチーズ:4枚、片栗粉:大さじ4、小麦粉:適量、パセリ:少々、揚げ油:適量
■作り方
1:ミルワームはさっと素揚げしておく。
2:はんぺんをフードプロセッサーでピューレ状にする。
3:スライスチーズを1センチ角に切る。パセリはみじん切りにする。
4:ボールにはんぺん、チーズ、パセリ、片栗粉を入れ混ぜ合わせ、好みで丸形やたる形、小判形に成形する。
5:小麦粉と水を少し濃いめ(ポテッとするくらい)に混ぜ、4をくぐらせ、1を衣に着けて170℃の油で揚げる。
(蓬田 至・作)