アラフォー女性はなぜ生きづらいのか
私はアラフォー再生コーチとして、アラフォー世代(30代後半~40代半ば)の人たちが、さまざまな状況の中で「自分らしく幸せに生きる」ということをテーマにしたセッションを行っています。会社の研修などで「コーチング」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、コーチといえば多くの人がスポーツを思い浮かべることでしょう。厳しい現代社会を生きる人々も、ある意味アスリートのようなものですから、励まし、自分の力を引き出してくれるコーチが必要なときもあります。私の仕事は、自分の人生を高めようとしている人に寄り添い、応援し、気づきを与えることだと考えています。特に女性の人生は、30代後半になると3~5年のスパンで変わっていきます。体力的なものだったり、体調やホルモンによるものだったり、仕事のポジション、家族の介護、恋愛、結婚、環境の変化など、さまざまな変化に対応しなくてはなりません。自分だけではどうにもできない問題もあり、その都度模索し、生き方のバリエーションが求められるのがこのアラフォー世代なのです。けれども、年齢に合わせて内面が変わったかというと、周りの人が思うほど変わっている認識がないため、環境と自分の内側の変化がアンバランスになり、さらに生きづらくなります。
そこで私は、アラフォー世代に自分再生(リニューアル)することをおすすめしています。
人気の雑誌や百貨店は必ずリニューアルをしますし、住まいもリフォームします。パソコンだって新しいOSに変えたら、アプリケーションも新しくしなくては起動しません。それなのに、アラフォー世代ときたら20代のころと変わらない生き方をしようとしているではありませんか。予測不可能な時代に、 古いOSのままであらゆるアプリケーションを今まで通りに立ち上げようとして、フリーズしてしまっているのです。
どんなに大変でも、自らの生き方でしか自分を救うことはできません。本質から輝きだした「再生リニューアル」をすることで、主体的に生きることができるようになり、自分が元気になれます。
自分の身の回りを振り返る
再生リニューアルをするためには、まずは等身大の自分を探ることから始めます。20代、30代のうちは「なりたい自分」を模索していいと思いますが、アラフォー以降は自分の中から「なれる最高の自分」を目指してほしいのです。どの部分を磨くかも、自分の生きてきたことから答えが見つかります。好きなお店、好きなブランド、自分の本棚、クローゼットなどを眺めてみましょう。自分が何を大事にしているかは、すぐにピンとこなくても自分が好きなものの下にその答えがあるはずです。コーヒーショップで言ったら、スターバックスが好きな人と、ドトールが好きな人と、街の喫茶店が好きな人とでは価値観が違うはずです。携帯電話メーカーでも自分の持ち味みたいなものがそれらを選択しているときに表れています。
もう別の誰かを目指す必要はありません。オリジナルの「自分らしさ」を表現すればいいのです。
ビジョンマップでこれからの自分を知る
しかし、本質を明確にしようと思っても、アラフォー以降になると気がつかないうちに「周りの人の期待に応える生き方」ができるようになっています。だから、いざ再生リニューアルしようと思っても、自分がどんなことをやりたいのか、何が好きなのかわからないという人が多いのです。そこで、私が提案するのがビジョンマップ作りです。ビジョンマップとは、雑誌などから直感で心魅かれる写真や言葉などを切り抜き、A3の台紙に貼り込んでいくもの。こうすることで自分の内側がビジュアライズされ、自分の潜在意識や目標を浮かび上がらせることができます。
今のアラフォー世代が20代のころは、まだ世の中には良い学校から良い会社に入って結婚するという一つの幸せの形がモデルとしてありました。それが多様化した今、どう生きたらよいのかを自分で探していく必要があります。ビジョンマップを作ることで自分らしさが1枚の絵となって表れ、自分の「目的地」に気づくことができます。私は定期的にビジョンマップセミナーを開催していますが、他の受講者と並んで作成することで他人との違いにも気づき、自分が目指す姿に、よりフォーカスできます。
このセミナーには、女性だけでなくアラフォー男性も参加しています。ある男性はビジョンマップを作成してみて、がむしゃらに仕事をしたい自分に気づいたと言います。業績をアップできる人は、ある意味いつも業績アップについて考えることのできる人ですが、自分が作ったビジョンマップを毎日眺めることで、より意識して行動することが日常的になり、年間目標の数字を半年で達成したそうです。
どれだけ努力しても結果を出しても満たされないときがあるのは、自分が心から大事だと思っているものに基づいて行ったのではなく、周囲の期待や過去の延長線上でやってしまっているときです。けれども、ビジュアライズすることで、自分自身がやりたいことに確信が持てるようになります。だからこそ自然と成果がついてくるのです。
アラフォー再生の三つのポイント
このように自分を知り、「なれる自分」を見つけたら、「自分再生=リニューアル計画」を立てていきます。そのポイントは次の三つです。(1)まずはプチリニューアル、部分リニューアルから始める
いざ自分を変えようと思っても、忙しくて身動きが取れない状況でやろうとすれば、自分を苦しめるだけ。そういう場合は、プチリニューアルや部分リニューアルを提案します。プチリニューアルでは、夜型の生活習慣を朝型に変えるだけでもよいのです。どんな人にも変えたいのに変えていない、変えたらうまくいくのに……と思う習慣があるはずです。そこから着手しましょう。アラフォー以降では習慣が自分を作っていくので、まずは変えられない悪習慣を断ち切り、自分を「しつける」ことからスタートします。部分リニューアルは、仕事のある一部分だけ、プライベートのこの部分だけといった具合に、カテゴリーを区切って行います。
いきなりすべてを変えようと焦らず、優雅に楽しく計画していくことが大切です。
(2)「ずっと」「すべて」「いつも」「絶対」「必ず」という言葉に敏感になる
根拠もないのに、ついこれらの言葉で自分を制限してしまうことがありますが、「自分再生=リニューアル」ではNGワードです。これらの言葉を発してしまった時は、これからの自分はどうしたいのかを問いかけてみるチャンスです。断定的な言葉よりも、イメージが広がる言葉を使うことを意識しましょう。
(3)自分の親友になる
人は自分の良いところよりも悪いところに目がいく傾向があります。「仕事をしている自分」「恋人」「妻」「母」などいくつもの役割がある場合、一つがうまくいかなくなると全部を否定したくなることもあるでしょう。どんな自分でもがんばっていることを自分自身が認めて、自分の親友になってあげてください。
もし生まれ変わることができたとしても、今のメンバー、この環境で生きることは最初で最後です。自分の人生をあきらめずに、周りに良い影響を与えられるような生き方を、私はコーチとして応援していきたいと思っています。