星のソムリエって何ですか?
ふと見上げた夜空に輝く明るい星、あの星の名前は何というのでしょう。夕空に並んだ三日月と宵の明星、次はいつ見えるのでしょう。そんな星空や宇宙に関する疑問にこたえてくれるのが、「星空案内人」、通称「星のソムリエ」。近所の方と一緒に星空を眺めたり小学校で天体観察会を開いたり、科学館でボランティアをしたりと、幅広く活動しています。楽しみ方を伝えて喜んでいただき、その喜びによって自分自身もまた嬉しくなるという好循環が、星のソムリエという資格の大きな魅力でしょう。
スマホを使えばカンタン! 夜空の見方
さて、そんな星のソムリエが近くにいてくれれば、星や星座の名前も、木星や土星がいつどこに見えるのかも、すぐに教えてくれるでしょう。でも、いなければ?最近は、スマートフォンの「星空観察アプリ」を使えば、場所や日時によって異なる星々の配置を正確に表示してくれるので、どの方向にどんな星座や惑星が見えるのか簡単にわかります。さらに、スマートフォン内蔵のコンパスと連動し、夜空にスマートフォンをかざすとその方向に見える星の名前を教えてくれたり、リストから天体を選ぶと実際に見える方向を矢印で指し示してくれたりする機能もあります。
アプリには星座のイメージイラストや星をつなぐ線も表示されるので、おうし座のツノやさそり座の尻尾といった星座の形や姿が一目でわかります。なかには「どうやっても動物や人物には見えない」つなぎ方もありますが、そんな星座や星を見つけてみるのも楽しいものです。
また、昼の空や地面の下にあって、実際には目にすることができない星も、アプリの画面では見ることができます。昼と夜の星々はつながっていること、地球も宇宙に浮かぶ惑星の一つであることを、実感できるかもしれません。
さらにアプリを使うと、星空を観察する日時や場所を自由自在に変更してその見え方を忠実に再現することもできます。自分が生まれた日の月の形や星空はどんな様子だったのか、今度旅行に行く海外の町ではどんな星座が見えるのか、確かめてみてはいかがでしょうか。
iPhone、iPadならApp Storeで、AndroidならGoogle Playで、「星座」や「天文」「プラネタリウム」といったキーワードで検索すると、「iステラ」「Starmap」「スカイマップ」「スマートステラ」「星座表」など様々なアプリが見つかります。無料のものから有料で高機能なものまでありますので、レビューや画面のサンプルを参考にして使ってみましょう。
スマートフォンの画面は明るいので、星図をじっと見ていると目が眩み、夜空の星がよく見えないことがあります。星空観察に使う時には、画面を暗めに設定しておくとよいでしょう。アプリの中には、星空観察に適した暗めの表示方法(ナイトビジョン)に切り替えられるものもあります。
四季折々の、夜空の目印
季節によって楽しめる花や鳥が異なるように、星空の世界も四季それぞれに様々な表情を見せてくれます。季節ごとの主な星や星座をご紹介しましょう。・春:「北斗七星」「春の大曲線」と「春の大三角」
春の星探しは、北の空の高いところに見える北斗七星からスタートしましょう。北斗七星は「おおぐま座」という星座の一部です。北斗七星と聞くと北極星の見つけ方を思い出す方もいるかもしれませんね。北極星は「こぐま座」に含まれる星です。
北斗七星の柄(え)のカーブを伸ばしていくと、オレンジ色に輝く「うしかい座」のアルクトゥールスや、青白い色をした「おとめ座」のスピカが見つかります。この「春の大曲線」が、春の星を見つける一つの目印です。アルクトゥールスとスピカ、そしてもう一つデネボラという星を結んでできるのが「春の大三角」で、これも春の星を見つける目印です。デネボラは、その西に見えているレグルスと共に「しし座」を形作る星です。
・夏:「夏の大三角」と「さそり座」
夏の星座を見つける目印は、白く明るい星を三つ結んでできる「夏の大三角」。このうち「こと座」のベガは「おりひめぼし」、「わし座」のアルタイルは「ひこぼし」という名前がよく知られています。残る一つは「はくちょう座」のデネブです。時期や時刻にもよりますが、夏の大三角は頭上高くに輝くのでよく目立ちます。
夏はもう一つ、南の空の低いところに輝く赤い1等星アンタレスも見つけてみましょう。「さそり座」の心臓に位置する星です。
空の条件の良いところでは、夏の大三角からさそり座にかけて天の川が流れているのがわかります。都市部では見えませんが、旅行や帰省の際には、ぜひ天の川も見上げてみましょう。
・秋:「秋の四辺形」と「カシオペヤ座」
秋は明るく目立つ星が少ないので、街中で星座を見つけるのは少し難しいかもしれません。頭の真上あたりに広がる「秋の四辺形」を目印にして、一つずつ星を探してみましょう。秋の四辺形は「ペガスス座」という星座の一部で、ここから「アンドロメダ座」や「ペルセウス座」などを見つけられます。
また、北の空の高いところに、アルファベットのM字形に星が並んだ「カシオペヤ座」が上っています。王妃カシオペヤの娘がアンドロメダ姫で、アンドロメダのパートナーが勇者ペルセウス、そのペルセウスが連れているのが天馬ペガススといったように、秋の星座の多くは一つの壮大な物語を作り上げています。
星空案内人
2007年に山形県で始まった資格制度。星座の見つけ方や天体望遠鏡の使い方、天文学や星にまつわる文化などを学び、テストに合格することによって認定される。「豊富な知識と経験からおいしいワインを選んでくれるソムリエのように、星空や宇宙の楽しみ方を教えてくれる存在でありたい」という思いを込め、「星のソムリエ」という愛称で呼ばれている。14年10月現在、全国で約600名の星のソムリエと、約2400名の準ソムリエが認定されている。なお、「星空案内人」および「星のソムリエ」は、山形大学の登録商標。