・冬:「オリオン座」を中心とした「冬のダイヤモンド」
寂しい秋の夜空から一転して、冬は1年でもっとも華やかな星空が見える季節です。その代表が「オリオン座」。赤いベテルギウスと青白いリゲルの輝きや、三ツ星を中心に整った星の並びからは、星空の王者のような風格を感じられます。
「オリオン座」の三ツ星を右に向かって伸ばしていくと、「おうし座」の赤いアルデバランが見つかります。反対に左に向かって伸ばすと見つかる白い星は、「おおいぬ座」のシリウスです。ベテルギウスとシリウス、そして「こいぬ座」のプロキオンを結ぶと、「冬の大三角」ができあがります。
さらに、「ふたご座」のポルックスや「ぎょしゃ座」のカペラといった明るい星を見つけられれば、ベテルギウスを中心とした大きな六角形を夜空に描くことができます。寒さを我慢して眺める価値のある、とても美しい「冬のダイヤモンド」の輝きを、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
ISS(国際宇宙ステーション)だって見える!
夜空に見えるのは星や月だけではありません。たとえば、タイミングが良ければISSという人工衛星も見ることができます。ISSは地球上空約400キロを飛行していて、90分で地球を1周しています。その中には常時6人の宇宙飛行士が滞在し、様々な実験などを行っています。
このISSに太陽の光が当たって反射すると、地上からは光の点が空を動いていくように見えます。飛行機と違って点滅しないので、簡単に見分けることができます。
見える時間帯や方角、高さは、日によって変化します。また、観察する場所(東京か大阪か、など)によっても変化します。何時ごろどこに見えるのかといった情報は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の「『きぼう』を見よう」というページ(http://kibo.tksc.jaxa.jp/sp/)で調べられます。
2015年6月ごろからは、油井亀美也(ゆいきみや)宇宙飛行士がISSに滞在予定です。空を渡っていくISSを見つけたら、ぜひ手を振ってみましょう。
14年冬~15年にかけての天体ショーリスト
流星群や月食など、夜空ではワクワクするような天文現象が起こります。14年冬から15年夏ごろまでに見られる、主な現象をご紹介しましょう。・「ふたご座流星群」、「ペルセウス座流星群」
流星群は、毎年決まった時期に普段より多くの流れ星が見える現象です。数ある流星群のなかでとくに見やすいのが、12月14日ごろに見られる「ふたご座流星群」と8月13日ごろの「ペルセウス座流星群」です。どちらも、街明かりが少なく見晴らしのよい場所では1時間に50個を超えるようなたくさんの流れ星が見られる可能性があります。
流れ星は空のどの方向にも飛ぶので、ある方向だけを見つめるのではなく、空を広く見渡すのがポイントです。なるべく街灯や月明かりの影響が小さい方向を眺めていれば、きっと流れ星を目にすることができるでしょう。
・2015年4月4日 皆既月食
月が地球の影に入り欠けて見える月食は、月の形や色が刻一刻と変化していく様子が肉眼でも楽しめる人気の天文現象です。15年4月4日にも、月全体が影に入る「皆既月食」が起こります。当日は土曜日で、夜7時から10時半ごろまでと比較的見やすい時間帯の現象なので、ぜひ観察してみましょう。スマートフォンのカメラで色が変わった月を撮影するのもお勧めです。
・惑星の見ごろ
金星、火星、木星、土星は、肉眼で簡単に見えるほど明るく、夜空でとてもよく目立ちます。とくに、月と並んで見えたり惑星同士が見かけ上接近したりすると、たいへん印象的な光景となります。
惑星は星々の間を動いていくので、見える季節は毎年変化していきます。下に記した時期以外も、インターネットやアプリを参考にして探してみてください。
・金星は2014年末から2015年夏ごろまで、一番星として夕方の西の空に見えます。
・火星は2015年4月ごろまで、夕方の南西~西の空に見えます。
・木星は2015年1月から6月ごろまで見えます。とくに3~4月は、宵のころに頭の真上近くに見え、よく目立ちます。
・土星は2015年5月下旬から8月中旬ごろまで見えます。宵のころに見やすいのは6月から7月にかけてです。
星空を眺めるのは、特別なことではありません。まずは気軽に、夜空を見上げてみましょう。きっと、月の光や星々の輝きに安らぎや美しさを感じられるはずです。そして、星や星座をもっと知りたい、天文現象を楽しみたいと思ったら、ぜひアプリを使ってみてください。小さなスマホを使って、広大な星空の散策に出かけてみませんか。
星空案内人
2007年に山形県で始まった資格制度。星座の見つけ方や天体望遠鏡の使い方、天文学や星にまつわる文化などを学び、テストに合格することによって認定される。「豊富な知識と経験からおいしいワインを選んでくれるソムリエのように、星空や宇宙の楽しみ方を教えてくれる存在でありたい」という思いを込め、「星のソムリエ」という愛称で呼ばれている。14年10月現在、全国で約600名の星のソムリエと、約2400名の準ソムリエが認定されている。なお、「星空案内人」および「星のソムリエ」は、山形大学の登録商標。