予防接種に付き添いって必要?
子どもの予防接種について、みなさんはどんな意見を持っていますか? 私は「積極的に受けたい派」。ところが夫や義母、親戚は「幼すぎると、接種に耐えられないのでは?」と、消極的だったり反対だったり。とはいえ、最初は「僕が子どものころは予防接種なんてなかったし、接種で熱が出たら、チッチがかわいそう」と言っていた夫も、「接種をせずに病気になったり、後遺症が残ったりしたら、もっとかわいそうでしょ」という私の意見に納得したようで、あとは私にお任せという感じになりました。
ミャンマーで1歳までに受けるワクチンの種類は、日本の育児書に書かれている内容とは少し異なっていて、4種混合(ジフテリア、百日せき、破傷風、ヒブ)、ポリオ(経口)、BCG、B型肝炎。受ける方法は個人接種と集団接種があり、前者の場合、受けるべき時期に病院に行けば接種してくれます。ただし、料金の約1万チャット(約1000円)は自己負担。これに対し後者の場合は、地域から「○日に接種しに来なさい」と連絡が来て、その日に行けば無料で受けられます。
同じワクチンを接種するのだから、無料がいいに決まってますよね。しかし、ミャンマー語のアナウンスに気づかなかったら困ること、また、医師にいろいろ相談できることを考え、チッチは病院で個人接種を受けることにしました。
予防接種の日、私にお任せの夫は病院まで送ってくれますが、待ち時間が長いので仕事に行ってしまいます。ところが待合室を見回すと、夫やらおばあちゃんやら付き添いを連れて来ている人が多く、私は看護師さんに「一人?」と聞かれることも。予防接種くらい、母親一人で十分でしょ? でも、医師が早口すぎて、説明がきちんと聞き取れないときには、「次は夫について来てきてもらいたいなぁ」と思うんですけどね。
夫だってイクメンです!
病院には付き添ってくれない夫ですが、子育てに協力してくれないわけではありません。ここでちょっと、夫のイクメンぶりを紹介しておきましょう。まず、出産直後。しばらく同居して手伝ってくれた義母がヤンゴンに帰り、ベビーシッターさんを雇うまでの間、チッチをお風呂に入れるのは二人の共同作業でした。
そして今は、私が家事に追われている時間はチッチを抱っこしてくれるし、おむつ替えとお尻洗いもやってくれます。ただし、ウンチのときはパス(笑)。どうしても、というときはやってくれますけどね。
チッチはいつもおっぱいを飲みながら寝るのですが、寝つけずに泣くこともあります。そんなときは、夫が抱っこして寝かしつけてくれるので、これもありがたい! そして朝、私が眠くて起きられないときは、チッチの遊び相手になったり、英語のCDをかけて歌ってあげたり。
タウンジーは冷え込むので、チッチが寒くないかいつも気にして、靴下や長袖をすぐに着せてくれるのも夫。そして、汗をかいたチッチを見て、脱がせるのは私(笑)。
子育てをしながらの私の仕事にも協力的で、私が仕事でお客さんと食事に行くときは、一緒にレストランに来て、チッチをあやしながら待ってくれています。
どうです? こうやって具体的に書き出してみると、わが夫もなかなかのイクメンですよね!
発熱の予防に解熱剤?
さて、予防接種です。日本では、一度接種を受けたら、次の接種までには一定の期間を空けるというルールがありますよね? でも、ミャンマーにはそんなルールなし! 4種混合とポリオを接種したとき、「明日、BCGを接種しに来なさい」と言われました。日本の育児書には「4種混合の後は6日間、ポリオの後は27日間空けること」と書いてあったのに、翌日って大丈夫なの!?子どもの医療についてはユニセフの指導が入っているはずなので、たぶん大丈夫なのでしょう。それでもちょっと心配だったので、翌月までずらしてもらいました。その判断は大正解。4種混合の後に発熱したのです。チッチだけではありません。ミャンマーでは、接種前の体温測定や健康チェックもなく、接種後に発熱する子どもの多いこと!
そんな事情なので、接種後、医師からこんな指示をされました。
「接種後はよく熱が出るので、家に帰ったらパラセタモールを飲ませなさい」
パラセタモールとは解熱剤です。
ミャンマーでは医師の言うことは絶対で、指示に対して質問するなんてとんでもないという風潮があります。以前、私が質問しようとしたら、近くにいた人が慌てて制止したほど、それはもう「絶対!」なのです。しかし、そのときの私は「外国人である」という武器を使って、ストレートに疑問をぶつけてみました。
「熱が出ていなくても飲ませるのですか?」「予防のために飲ませなさい」
発熱もしていないのに、解熱剤を飲ませて大丈夫なの? それって、骨折もしてないのにギプスするのと同じじゃないの? と思いつつも、指示どおりに飲ませた私。それでも熱が出たチッチ。しかも38.5度! だったら、事前に飲ませる必要なかったじゃん!
医師だけではありません。このパラセタモールを強く信仰しているのが義母。予防接種のときはもちろん、チッチの誕生を祝う会の前日にも、「明日、熱が出るといけないから飲ませておきなさい」と言ってきました。さすがに全力で拒否しましたけどね。
そう言えば、結婚式の前夜、私が飲まされたのも、パラセタモールだったような……。義母から何か渡され、そのときは深く考えずに飲んだのですが、もともと私は、無用な薬は飲まない派。もぉお義母さんたら、ビタミン剤じゃないんだから!
ん? 接種の時期がパンフレットと違うぞ?
さて、BCGは20人1グループで、月に1度、決まった日に受けることになっています。そこで、指定された日に病院へ行ったのですが、「日程が変更になり、今月はもう終わりました。来月また来てね」と看護師さん。変更になった理由は医師の都合とか。まぁ、ミャンマーではよくあることです。その数日後、別の予防接種を受けに行きました。チッチはめちゃくちゃご機嫌で、看護師さんや事務のお姉さんたちに抱っこしてもらって大はしゃぎ。そのご機嫌は、いざ接種されるときも継続していて、1本目を右ももに打たれた瞬間は気づいていなかったようす。ところが途中から「あれっ!? もしかして痛い?」と表情が変化し、2本目を左ももに打たれると大号泣。そして、大きく開けたその口に別の薬をポンと投入され、あまりの驚きに息ができず、口パクで泣くチッチ! 起こして背中をトントンしたら、やっと声を上げて泣いてくれました。
これで予防接種はひと段落。次は1歳になったときに、はしかと水ぼうそうを受ければよし! と思っていたのですが、「9カ月のときに、はしかの予防接種を受けに来てください」と看護師さん。もらったパンフレットには「はしかは1歳」と書いてあるのに??? とにかく9カ月と、その後18カ月で受けるようにと言い渡されました。
「水ぼうそうもありますよね?」「水ぼうそうのワクチンは切れてます」。えーっ!!!
「でも、チッチが受けるころには入ってくるんじゃないの?」と確認したのですが、どうやら入らないっぽい雰囲気……。「6カ月を過ぎたらインフルエンザも受けられるから、受けに来なさいよ」と、話をすり替えられて説明終了でした。
子どもたちを病気から守るためのワクチン事情が、こんなんでいいのか??? すべての接種を終えて安心できるまで、もうしばらく孤軍奮闘が続きそうです。