西洋の伝統であるリボンだが、日本独自の技術と素材開発の結集で、他にはまね出来ない高品質のため、いまや用いたブランドにとって偽物対策や真贋判定の材料としても機能しているという。
他にも「『拭く布』から『まとう布』へ」というテーマを掲げ、原料、紡績手法、織り方など細部にこだわったタオルを開発したタオルの内野(東京都)は、ヨーロッパ最大級のインテリア・デザイン見本市の「メゾン・エ・オブジェ」で、2009年に繊維関係のカテゴリーで「レ・デグベール賞」を受賞。その品質と創造性が高い評価を受けた。ラグジュアリーブランドからタオル地の依頼があり、それはリゾートラインのゴージャスなジャケットに仕立てられ店頭に出た。
かくして名脇役の名は明かされない
日本のテキスタイルや副資材がトップブランドから注目される理由には、日本ならではのきめ細かいフォローなど徹底的に相手をおもんぱかる心遣い、製品の独自性、品質の高さ、安定した納期や供給力への信頼が挙げられる。同時に、日本のメーカーが意図しない視点で用いられることによって、製品に新たな命が吹き込まれることも多い。
「まさか、こんなアイテムに使用されるとは!」とは、先述のメーカーからよく聞かれた言葉だ。資材用の製品をブレザーに仕立てる、ツイードにリボンを織り込む、タオルはジャケットとなってエレガントに変身する。作り手の想像を超えたデザイナーの創造力の羽ばたき。そしてクリエーターを刺激するMade in Japanの優れた技術とオリジナリティーの高さ。日本のメーカーも、クリエーターの斬新な発想を得て更に前進する。理想的なクリエーションのバランスが、今Made in Japanを新たなステップへと導こうとしている。
世界のラグジュアリーブランドが発信するコレクション、華々しく発表されるトレンドを支えるMade in Japanの数々。しかし、これらのメーカー名をブランド側が明かすことは決してない。それはそうだろう。誰だってブランドの独創性と美意識をサポートしてくれる名バイプレーヤーは門外不出にしておきたいものだ。