だが、ここ何年にもわたる国技館でのヘイト声援などにも何の対処もせず、むしろそれを「日本人力士ファースト」の雰囲気作りに利用してきた相撲協会は、差別という暴力に対してあまりにも鈍い。
また、日馬富士の暴行事件について諮問された横綱審議委員会が、問われてもいない白鵬の相撲内容まで批判したことも、事件と無関係のことを事件に結びつける方向へ誘導したと言える。相撲内容をこんな形で公式に批判するぐらいなら、「横綱は張り手・カチ上げ禁止」などとルール化すればいい。ここでも「品格」と同様の、恣意的な基準での批判が行われている。
このように、問題を解決するための壁となっているのは、常に法の欠如、民主的な運営の欠如である。「相撲独自」という言い方ではもう許されないところまで来ている。相撲協会は、部屋のあり方から組織の運営まで、コンプライアンスという基礎を学んで、一から作り直すべきだ。さもないと、力士を守れない。力士を守らなければ、相撲は予想外の早さで崩壊していくだろう。
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