2024年7月、フランス・パリで第33回となる夏季オリンピックが開催される。
近代オリンピックの発祥は1894年、フランスの貴族であったピエール・ド・クーベルタン男爵の呼びかけにより、国際オリンピック委員会(IOC)が設立されたことにさかのぼる。
「健全な民主主義」と「平和を愛する賢明な国際主義」(クーベルタン)を掲げて始まった近代オリンピック。二度の世界大戦や東西冷戦を乗り越え、いつからか巨額の収益をあげる一大イベントと化したスポーツの祭典。その歴史を振り返る。懐かしの名選手、名言、マスコット、大会記録や歴史的事件など、オリンピックにまつわるトリビアも満載。
あなたが最初に見たオリンピックはいつ、どの大会?
*開催日程、参加国・地域、参加選手数、競技・種目数は主にIOCの資料を参照した
*競技・種目の呼称や分類は大会によって異なる
第1回:1896年アテネ大会(開催国:ギリシャ)
開催日:4月6日〜15日
参加国・地域:14、参加選手数:241人、9競技43種目
*世界初の近代オリンピック。参加者は男子選手に限られた。
*陸上、水泳(競泳)、体操、ウェイトリフティング(1896年当時は体操の1種目として行われた)、レスリング、フェンシング、射撃、自転車、テニスの9競技が実施された。ボート(ボート及びセーリング)も予定されていたが、悪天候のため実施されていない。このうち、陸上、水泳(競泳)、体操、フェンシング、自転車の5競技は、第33回パリ大会まですべての大会で実施されている。
*第1回アテネ大会から全大会に欠かさず参加している国は、ギリシャ、イギリス、スイス、オーストラリア(1908年ロンドン大会とストックホルム大会では、ニュージーランドなどとともに「オーストララシア」の名称で参加している)の4カ国。
第1回アテネ大会開会式
第2回:1900年パリ大会(開催国:フランス)
開催日:5月14日〜10月28日
参加国・地域:24、参加選手数:997人、19競技95種目
*パリ万国博覧会の附属大会として開催されたため、会期が半年近い長期になった。
*女子競技が追加され、22人の女子選手がテニス、ゴルフなどに参加した。
*テニス女子シングルスでは、ウインブルドン選手権で3回の優勝経験がある名選手、シャーロット・クーパー(イギリス)が優勝した。
第3回:1904年セントルイス大会(開催国:アメリカ)
開催日:7月1日〜11月23日
参加国・地域:12、参加選手数:651人、15競技91種目
*前回大会と同様、セントルイス万国博覧会の附属大会として開催された。
*金銀銅のメダルが授与されるようになった。
*【トピック】「キセル・マラソン事件」:マラソン競技中、フレッド・ローツ(アメリカ)は20キロ過ぎで倒れ込んでしまい、通りかかった車に乗せてもらってスタジアムに帰ろうとしたが、スタジアムの近くで車がエンスト。ローツは車を降りてゴールを目指し、そのまま1着でゴールした。車のドライバーが告発したことでこの不正が暴かれ、ローツはその場で優勝を剥奪され、2着のトーマス・ヒックス(アメリカ)が優勝者となった。
第4回:1908年ロンドン大会(開催国:イギリス)
開催日:4月27日〜10月31日
参加国・地域:22、参加選手数:2008人、22競技110種目
*【名言】「参加することに意義がある」:アメリカとイギリスの選手間のいさかいを諫めた聖職者の言葉を借り、クーベルタンが会期中のレセプションで発言。
〈1909年5月、クーベルタンの呼びかけにより、嘉納治五郎がアジア人として初めてIOC委員に就任。1911年7月10日、嘉納はストックホルム大会への参加を目標に大日本体育協会(現・日本スポーツ協会)を設立した〉
第5回:1912年ストックホルム大会(開催国:スウェーデン)
開催日:5月5日〜7月27日
参加国・地域:28、参加選手数:2407人、14競技102種目
*日本初参加。陸上競技に、三島弥彦(短距離走)と金栗四三(かなくり・しそう)(マラソン)の2名が参加したが、予選敗退や棄権という結果に終わった。金栗は2018年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」で主人公の一人として描かれている。
*【トピック】「最年長金メダリスト」:スウェーデンの射撃選手、オスカー・スパーンが64歳258日で射撃団体の金メダルを獲得。スパーンはアントワープ大会では72歳280日で同種目の銀メダルを獲得し、最年長メダリストの記録も保持している。
〈1914年7月28日、第一次世界大戦開戦〉
第6回:1916年ベルリン大会(第一次世界大戦のため不開催)
〈1918年11月11日、第一次世界大戦終結〉