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著者プロフィール

田中秀樹 (たなか ひでき)

水産総合研究センターグループ長
独立行政法人水産総合研究センター増養殖研究所養殖技術部ウナギ量産研究グループグループ長。1957年、大阪府生まれ。農学博士。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。水産庁養殖研究所研究員、同主任研究官、水産総合研究センター養殖研究所主任研究官、水産総合研究センター養殖研究所グループ長を歴任し、現職。
幼少時、魚の飼育を趣味とする。研究職に就いた当初は、性分化や性成熟を専門としていたが、1990年代に入ってから、ウナギの完全養殖のプロジェクトに参加。以来、この研究一筋となるが、大学院時代、世界で初めてウナギの人工孵化(ふか)に成功した北海道大学の山本喜一郎教授の著書『ウナギの誕生 -人工孵化への道-』に感銘を受けたこともあり、ウナギとの縁を感じる。研究にあたっては、あまりにも多くの謎と、思うように好転しない事態を前にして体調不良に陥ることもあった。周囲には、ウナギを人工的に育てることはできないと結論づける意見もあったが、自然界で成立していることを人工的に行えないはずがなく、何かを見落としていて、どこかが間違っているのだという姿勢を貫く。96年7月、何を餌にしているのかわからなかった仔魚がサメの卵を食べたとき、完全養殖実現への確信を得る。

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