結婚のきっかけは猫!?
加藤 とよたさんは、子どものころから動物がそばにいたそうですね。とよた 物心がついたときには、猫8匹と犬、ニワトリもいました。ニワトリは、姉か兄が縁日で買ってきたひよこが大きくなったようです。でも、やっぱり記憶に残っているのは猫ですね。
加藤 ご家族も動物が好きだったんですね。
とよた そうですね。母が猫好きで、ずっと猫はいました。私は実家暮らしが長くて、ひとり暮らしをして自分だけの猫と暮らし始めたのは、30歳を過ぎてからですね。最初の猫は、今は亡き「しーちゃん」(享年推定15歳・オス)です。
加藤 どちらで出会ったんですか?
とよた 琵琶湖の近くで撮影をしていたときに見つけました。まだ本当に小さな子猫で、片目が目やにでふさがっていて、撮影中、ずっと気になってたんです。それで、近くで畑仕事をしていたおばあちゃんに、「この猫、どうしたんですか?」と尋ねたら、野良の子で母猫がほったらかしにしているというので、「保護してもいいですか?」と声をかけたら、「持ってって、持ってって」っていう感じで。
加藤 それで東京まで連れて来たのですね。
とよた そうです。まだ撮影が残っていたので、動物病院に連れて行った後に京都の知り合いのところで2~3日預かってもらい、撮影が終わったら新幹線で一緒に東京に帰ってきました。その後、「ジジ」(享年推定13歳・オス)、「フィオ」(推定17歳・オス)に出会って、結婚前には3匹猫がいました。
加藤 3匹と一緒にお嫁入りですか。
とよた お嫁入りっていうか、結婚して夫(映画監督の青山真治さん)という大きな猫が1匹増えたみたいな感じですかね(笑)。
加藤 ご主人も猫好きだったんですか?
とよた 犬は飼っていたけど、猫を飼ったことはなくって、かわいさがわからなかったみたい。私と暮らすようになって初めて猫に接した感じです。まだ結婚前で、夫とつき合っていたころに、子猫だった「うぶうぶ」(推定16歳・オス)を私が保護したのですが、すでに3匹いたので4匹目はどうかと思って、友だちに「猫飼わない?」と声をかけていたんです。でも彼が子猫のかわいらしさにすっかりやられてしまったらしく……。
加藤 わかる(笑)。
とよた 2日目くらいには「俺が飼う」と。他にも飼いたいという人がいて、その人にどんな模様かとか聞かれたんですが、「容姿を気にするようなやつにはあげない。そういうレベルじゃないんだ」とか言い出して。で、結果的に結婚して一緒に飼うことになりました(笑)。
加藤 そういういいダンナさんをよく見つけましたね。猫への思い、ばっちり気が合ってるじゃありませんか。
とよた まあそうですね。動物好きというのが結婚の第一条件ではないけど、動物好きじゃない人とはたぶん一緒にはいられないでしょうから。
加藤 結婚してからも、猫は増えてるんですか。
とよた そうですね。
加藤 ダンナさんが拾ってきた猫もいますか?
とよた それはいないです。結婚後、『サッド ヴァケイション』という夫の作品に私も参加し、九州に撮影に行ったとき、私が野良猫の子猫を見つけて、撮影の合間に手なずけていたんです。そしたら、横から「やめてよ~、ダメだよ~」ってずっと言ってました(笑)。結局、地元の方が飼うことになって、夫はほっとしてましたね。でも、その後、「ボンボン」(推定8歳・オス)、「タラ」(推定8歳・オス)、「ペト」(推定6歳・オス)、「茶々丸」(推定5歳・オス)の4匹が増えました。
運命的に出会う猫はなぜかオスばかり
加藤 今、ご自宅にいるのは何匹ですか?とよた しーちゃんとジジが亡くなって、タラちゃんが家出中だから、今は5匹です。タラちゃんはペトとの相性が悪くて、出て行っちゃったんです。私と暮らす猫は、なぜかみんなオスばかり。別に選んでいるわけじゃなくて、たまたま拾ったのがオスだったんです。
加藤 すごいですね。オスばかりで、猫どうしの関係ってどうですか? 結構うまくいっちゃうものかしら。
とよた だいたいうまくいってるんですが、ペトだけが輪を乱してます。
加藤 輪を乱すとは?
とよた ペトはかなりKY、空気読めないんですよ。なんかね、多分、みんなペトの言ってることがよくわからないというか、ペトの行動に猫たちもきょとんとしちゃうというか。
加藤 たとえば、どんな感じですか?
とよた 突然、「ニャー」じゃなくて、「ワー」って言いながら登場するんです。ホントに「ワー」なんですよ。猫たちもびっくりで、猫語が通じ合えていないというか。若手のボンボンや茶々丸とはまだいいのですが、年上のフィオやうぶうぶは理解不能という感じで、相性はよくない。最近のうぶうぶは、ペトに因縁をつけるのが生きがいという感じですね。ペトが何もしてないのにちょっかいを出してますから。フィオはあきらめたようで、相手にしません。もうおじいちゃんだし、自分のことで精いっぱい。うちは二世帯住宅で、母が下の階に住んでいますが、うちの猫たちも母が大好き。中でもペトがとにかく母のことが好きなんです。私が命がけで助けてあげた猫なのに、母にべったりなんて(笑)。
加藤 ペトはどこで保護したんですか?
とよた 交通量の多い道路の真ん中で、です。前を走っていたトラックと乗用車が接触事故を起こして、どうしたのかと思ったら、乗用車が何かを避けたらしく、それが子猫だったんです。後ろにいた私はこのままだったら子猫がひかれてしまうと思い、自分の車の下に子猫が来るように車を止め、事故で前が詰まっていたので、そのすきに子猫を保護しました。それがペトです。
加藤 すごい出会いですね。とよたさんは猫との出会いがいろいろあるんですね。