猫の模様の不思議
加藤 こんにちは。あら、お出迎えしてくれたのね。人なつこいコですね。いいモデルさんになってくれそうです。おお、もう1匹来てくれた。ありゃまあ、デカイですね。川上 白黒の大きい猫が「アクア」。スコティッシュ・フォールドの男の子で、3月で17歳になります。こっちは「ココロ」で女の子。同じく3月生まれでもうすぐ2歳です。ココロの母猫は野良猫で、虐待されて瀕死(ひんし)の状態で保護されたそうです。そのとき、おなかに4匹身ごもっていて、帝王切開で生まれた中の1匹がココロです。当時、私は舞台公演があり面倒が見られなかったので、舞台が終わったころに引き取り手がなければ考えようと思っていたんです。そうしたらまだ2匹いて、知り合いが1匹引き取ってこのコだけ残ってしまったから、これも縁だと思って私が引き取りました。うちに来たときは生後4カ月でした。
加藤 あっ、ココロの特徴、見つけちゃった! シッポの先端がポチッと白い。
川上 そうなんです。あと脇の所にもちょっとだけ白いのがあります。
加藤 自分の猫の顔って飼い主はよくわかっているつもりでも、万が一迷子になって「この猫、お宅のですか?」って顔写真だけ見せられたら、案外わからないと思うんです。うちにもココロに似た柄の「ちび」という猫がいて、顔の特徴を覚えているつもりなんだけど、白い毛があるのは右だっけ? 左? と迷うときがある。だから、体のどこかにわかりやすい特徴があるといいですよ。絶対に顔だけでわかるというのは、飼い主の過信(笑)。
川上 動いている姿を見ればわかるかもしれないけど、顔写真だけだと確かに難しいかも。ココロは生まれた動物病院では「腕までキジちゃん」って呼ばれてたんですよ。他の3匹は足先だけが白くてソックスをはいているみたいだったのに、ココロのキジトラ模様は腕までなので。
加藤 猫の柄や色の発生って、背中側から下に伸びていくんですって。だから、どこまで伸びるかで柄に違いが出るんでしょうね。ココロはちょっとアンバランスにソックスをはいてしまったのね(笑)。
川上 へえ~、面白いですね。背中からマントを羽織ったような感じですかね。ココロは背中からキジトラが伸びて、足先までは届かなかったってことですね。
加藤 顔も濃い色は上から下に伸びるんですよ。アクアみたいな白黒も上が黒くて下が白。上が白くて下が黒いっていう柄はまず見かけないでしょ。あっ、ココロの特徴、もう一つ見つけた。鼻の周りに模様があって、ちょっと鼻クソ猫ですね(笑)。
川上 そうなんですよ。きょうだいはもっと鼻クソ猫でした(笑)。ココロは鼻の模様がちょっとハート形に見えるので、「ココロ」って名前にしたんです。
加藤 ホントだ、ハートに見える! かわいいですね。
猫3匹はちょうどいいバランス
加藤 ココロが来たときのアクアの反応ってどうでしたか?川上 アクアはどうでもいいのか、ほとんど反応しなかったですね。
加藤 猫が好きな猫と、猫が嫌いな猫がいるんですよね。
川上 アクアは猫よりも人間が好きで、人にはすぐなつきます。ココロが遊んでほしくてアクアに近付くけど、アクアは面倒くさそうにして、ときどきシャーって怒ってます。
加藤 ココロはまだ若いからよく遊びますね。
川上 オモチャはシンプルなものでいいんです。うちの猫は髪の毛を縛るゴムとかにじゃれて遊ぶのが好き。高価なオモチャにはあんまり興味がありません。
加藤 うちも。買ってきて3秒で燃えないゴミ(笑)。お部屋にすてきなものがたくさん飾ってありますが、猫に落とされませんか?
川上 飾ってあるものは倒さないけど、ココロはちょっと目新しいものがあると、とりあえず落とさないと気が済まないみたいです。で、落としたときに私の顔をちらっと見て反応をうかがう。これ、ダメなやつ? みたいな(笑)。
加藤 うちは猫がものを落とすから、もう最初から落としておくしかない(笑)。で、だんだんものを置かなくなって部屋が殺風景になっていったけど、川上さんはすてきにものを飾っているので感心しました。
川上 しばらく子猫もいませんでしたからね。ココロが来るまで、アクアと去年の夏に19歳で亡くなった「リッカ」の2匹で、15年以上子猫と接していなかったので、猫ってこんなに跳ねるんだって、久しぶりに思い出しました。
加藤 うちの猫たちも10歳と18歳だから、子猫や若い猫の姿を見ると、猫ってこうだったって思い出しますよ。
川上 オモチャに向かってお尻振って飛びかかる姿とか、まだ子どもだなって思います。
加藤 もう1匹子猫がいるとココロの遊び相手にいいかもしれませんね。
川上 そうなんですよ。うちはずっと3匹体制だったので、3匹がバランスいいと思うんです。猫を飼い始めた最初の7年間は1匹だけで溺愛(できあい)していたんですけど、2匹になったときにこんなにいいものなんだと思いました。数は倍になったけど、気持ちや手間は半分で楽になった。そのときの2匹がすごく仲が良かったので、寄り添ってグルーミングし合っている姿を見たら、自分がそこに加われなくても見ているだけで幸せなんです。
加藤 わかる! 1匹だと「人間」対「猫」になって、「人間代表です」「猫代表です」「どうぞよろしくお願いいたします」って感じになるでしょ。2匹になると猫の社会を築きつつ人のほうも向いてくれて、より猫らしさが見られる。そこが面白いなあと思います。2匹だとうまくいかなくても3匹いると緩和されてうまくいくということもあるでしょ。
川上 ありますね。