これからにつなぐ
鳩山氏が何をやっても叩く、そんな風潮すらある日本の言論界であるが、日本より圧倒的に軍事力重視であるアメリカにおいても、鳩山氏の立場について共に政策的観点から議論できる人がたくさんいる、これを実感できた訪米であった。
この連載の前回で触れた通り、鳩山氏を送り出した直後に、偶然にも、立憲民主党の結党後初のワシントン訪問のサポートを担当させていただいた。立憲民主党は、安全保障の分野から本多平直衆議院議員を、原発問題の分野から高井たかし衆議院議員を党の訪米団としてワシントンに派遣し、まさに鳩山政権の時代の外交を乗り越えるべく、ワシントンでのプレゼンスを構築し始めている。
立憲民主党の訪米においては、3日間で約30件という数多くの会談をセッティングした。沖縄基地建設や原子力協定についての懸念を伝え、議論を行ったが、その過程で、政権を取りながら米国との関係をうまく築けなかった民主党の失敗を残念に思う多くのアメリカの専門家たちから様々なアドバイスを受けた。
「党関係者は定期的にワシントンを訪問すべき」「英語が堪能な人をワシントン担当者とすべき」「やり取りすべきカウンターパートの顔がアメリカから常に見えるようにすべき」「諸問題についての党の政策を具体的に説明できるようにすべき」「日本を専門にするコミュニティーとだけでなく幅広い層の人々とのネットワークを築くべき」等々。どれも、鳩山政権を含む民主党政権時代からのワシントンにおける経験を踏まえての具体的なアドバイスである。これらのアドバイスは、日本において自由民主党的外交を良しとしない人々全体へのアドバイスであると言えるが、いずれももっともであると私は思う。
外交と言うと非常に大きな時代のうねりが人為を超えたところで生まれているかのような錯覚に陥るが、実際には、「一人ひとりのつながり」が外交である。少なくとも、現在の外交を変えていこうとする側には、人とのつながりを作り出していくということ以外に方法はない。
私自身も、今回の機会に感謝しつつ、ここでの経験と培った貴重な人間関係を財産に、これからも新しい外交作りに尽力したい。