衆議院定数を10削減し、小選挙区選出議員数の都道府県への配分と比例区選出議員数の比例ブロックへの配分にアダムズ方式を導入した法律(→「アダムズ方式」)。2016年5月20日に成立した。09年衆議院議員選挙の定数配分につき最高裁判所で違憲状態と判示されたが、この際に一人別枠方式が格差を生む主要な原因として特に是正が求められた(→「衆議院定数「違憲状態」判決(2009年総選挙)」、→「一人別枠方式」)。これを受けて12年総選挙直前に緊急的に区画審設置法が改正され一人別枠方式の規定が削除され、同時に0増5減の定数是正が行われた(→「衆議院「0増5減」」)。しかし、最高裁は12年総選挙の選挙区割りについて違憲状態と判示した(→「衆議院定数「違憲状態」判決(2012年総選挙)」)。判決では、一人別枠方式は条文が削除されただけで、その配分自体は存置されたことを重く見た。これを受けて衆院議長の諮問機関として衆議院選挙制度に関する調査会(佐々木毅会長)が設置され、どのような配分方式を採用するか議論を重ねたが、その間にも12年と同様に14年総選挙についても最高裁は違憲状態とする判決を下していた(→「衆議院定数「違憲状態」判決(2014年総選挙)」)。16年1月に調査会は議論をまとめ、衆院議員定数を10削減して465とするとともに、10年ごとの大規模国勢調査結果を基に小選挙区と比例区の双方についてアダムズ方式により議員定数を配分するよう答申した。しかし、この答申に対し定数削減が見込まれる県選出の議員が多い自民党は難色を示した。その結果、アダムズ方式による抜本的な定数是正は即座に実施せずに先送りされ、20年国勢調査の速報が公表されて以降とされ、それまでの特例措置として小選挙区6、比例区4の定数削減とこれに伴う簡易的な是正が行われることとなり、区画審設置法と公選法の改正が実施された。同法案には自民党、公明党に加えておおさか維新の会が賛成し、民進党、共産党などが反対した。なお、暫定措置による選挙区割りの見直しは17年に行われた(→「衆議院小選挙区「0増6減」/衆議院比例区「0増4減」」)。