総理大臣(首相)のもっとも身近な手足として、時には頭脳としての役割を演じる総理大臣秘書官(首相秘書官)が内閣官房に置かれている。定数は法律により5人とされているが、1999年の法改正で政令によって定めるよう改められた。そのうち1人は俗に首席秘書官といわれる政務秘書官で、普通は気心が知れた総理大臣の議員秘書が就任することが多い。そのほかの4人は財務省、外務省、警察庁、経済産業省からそれぞれ課長クラスのキャリア組が出向している。これらのうち、前者は主に首相のスケジュールの調整や与党や国会の連絡調整を担当し、後者は首相官邸とそれぞれの出身官庁をはじめとするその他の官庁との連絡調整に従事する。一般に首相側近という場合、これらの総理大臣秘書官を指す。総理大臣秘書官は、麻生内閣(2008年発足)で総務省からも出向し、6人体制になった。民主党政権では、鳩山内閣では5人体制に戻ったが、菅内閣で総務省と防衛省からの出向が始まり、7人体制となった。野田内閣もこの体制を引き継いだ。自民党政権の安倍内閣(→「第2次安倍内閣」)では当初は6人体制だったが、13年11月に経産省(旧郵政省入省)から戦後初の女性秘書官を採用し、秘書官は7人体制となった。なお、00年1月から、大蔵(財務)、外務、通商産業(経済産業)、防衛、厚生(厚生労働)の課長補佐クラスが総理大臣秘書官補を務めるようになった。小泉内閣では、厚生労働、総務、国土交通、文部科学(のちに農林水産に交代)、防衛の5省庁の課長級で構成する特命チームを事務官房副長官の下に置き、政策立案や国会対策を行わせるようになった。