中部電力が静岡県で稼働させている原子力発電所。1976年3月に1号機が動き始め、現在までに5号機までが建設された。すべて沸騰水型炉で、1号機(76年3月17日稼働開始、54万kW)、2号機(78年11月29日稼働開始、84万kW)、3号機(87年8月28日稼働開始、110万kW)、4号機(93年9月3日稼働開始、113万7000kW)、5号機(2005年1月18日稼働開始、126万7000kW)。心配されている「東海地震」の想定震源域の中心に位置しており、原発震災と呼ばれる地震による巨大事故が懸念されてきた。特に、07年7月16日に発生した新潟県中越沖地震によって、柏崎刈羽原子力発電所が国の認可をはるかに超える揺れに襲われたことから、その懸念がますます大きくなった。国の耐震設計審査指針も改定され、新しい指針の下での耐震補強工事がなされることとなった。しかし、1号機と2号機は、補強工事に費用がかかりすぎることから、中部電力が廃炉にすることを決定、09年1月に運転を停止した。一方、中部電力は140万kW級の改良型沸騰水型炉(ABWR)を6号機として建設すると表明している。また、10年暮れには4号機でプルサーマルを実施しようとしたが、09年8月に駿河湾で起きた比較的小さな地震で想定を上回る揺れを受けたうえ、5号機が特異的に大きな揺れを受けた問題が解明できず、延期となった。さらに、11年3月の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)により発生した福島第一原子力発電所事故を受け、かねてから指摘されてきた巨大地震や津波に対する不安が高まり、同年5月、中部電力は政府からの全面停止要請を受け入れ、すべての号機が停止した。その後、高さ22mの防波堤を建設したことで、津波対策ができたと中部電力は主張しているが、浜岡原発の場合、まず重要なのは東海地震であり、それに耐えられることを科学的に証明することには困難がある。