商品選びの前に決めておくこと
まず、「音質」と「小型・省スペース」のどちらを重視するかがポイントです。 基本的に、音質と省スペースは相いれない要素で、机上での使用を考えると小型が好まれますし、音質を重視するなら大型にならざるをえません。これらを両立させる変わり種として、机上に小型スピーカーを二つ、机下に低音を受け持つウーファーを一つ(0.1と数える)配置する「2.1ch」と呼ばれるシステムも人気です。接続方法のいろいろ
パソコン用スピーカーにはいくつかの接続方法があり、それによって音質も変わります。もっとも簡単なのが、ヘッドホン端子を利用したアナログステレオ接続のものです。音質はパソコンにもよりますし、電源に電池を用いるものもありますが、パソコン以外に「iPod」などの携帯プレーヤーにも接続できるので重宝です。次に考えられるのは、USBデジタル接続タイプ。パソコンのUSB端子に接続し、そこから送り出されたデジタル音声データを、スピーカー側でアナログ音声信号に変換するので、パソコン内部に充満しているノイズの影響を受けにくく、音質を考慮した製品では数多く採用されています。スピーカーへの電源供給を同時に果たす製品もあるので、用途に応じて選びましょう。
さらに進んだ技術としては、デジタル音声データを無線で飛ばす「Bluetooth (ブルートゥース)」があります。製品は限られますが、パソコンや携帯電話では、Bluetooth搭載製品が増えています。スピーカーがBluetoothに対応していれば、接続ケーブルが不要になるので、配線がなくスッキリすると同時にケーブルの長さなどによる設置場所の制約も少なくなります。ただし、Bluetooth対応製品でも、お互いに接続できない機器もあるので、事前に型名などで確認が必要です。
そのほかにも、USB接続や「S/PDIF」接続を利用して、5.1chサラウンドを実現するスピーカーシステムもあり、パソコンで本格的な「ホームシアター」サウンドを楽しむことも可能です。
バーチャルサラウンドという手も…
バーチャルサラウンドとは、たった2個のスピーカーで、映画のDVDなどによくみられる、包み込まれるような5.1chサラウンドを疑似的に再現する技術です。パソコンのように、座る位置がおおよそ正面と決まっていると、サラウンド効果を得やすいのも特徴です。バーチャルサラウンドにはたくさんの方式がありますが、主なものでは、SRA Labs社による「SRS」や「SRS TruSurround」があり、これらのロゴが入っていれば、バーチャルサラウンド機能が搭載されていると分かります。なお、バーチャルサラウンドは、パソコン用のDVDプレーヤーソフトやメディアプレーヤーに搭載されているケースもあります。この場合、普通のステレオスピーカーでもバーチャルサラウンドが楽しめますので、あえてこの機能を搭載したスピーカーを選ぶ必要はありません。
便利機能もあります
二つの入力系統をもち、両方の音を同時に混合して再生できるミキシング機能をもつスピーカーであれば、パソコンのほかに携帯プレーヤーなどを接続して楽しむことが可能です。音楽を再生しながら、パソコンからの音声、告知音、効果音も同時に聞くことができ、一石二鳥。スペースも費用も節約できます。最近のトレンドは、USB接続で給電を受け、音声データはヘッドホン端子を使うアナログ接続となるタイプです。超コンパクトタイプに限られ、音量も小さめですが、スピーカーに電池や電源の接続がいらず、便利です。音質にこだわるなら、重量のある、しっかりした木製のスピーカーがおすすめです。筐体(きょうたい)がしっかりしていれば、他の素材でも構いませんが、たたいて音が響くようであれば失格です。
意外と重宝なのが、ヘッドホン端子を搭載したスピーカーです。デスクトップパソコンを使っている場合、ヘッドホン端子が背面に搭載されているケースが多いものです。スピーカーの前面にヘッドホン端子があれば、深夜など、とりあえずヘッドホンやイヤホンで聞きたいときに便利です。
スペックと音質の関係は?
音質に関連するスペック指標はいくつかありますが、実際のところ、音質に関しては、数値で的確に表現し、判断することは困難です。音質の良いスピーカーにたどり着くには、評判を聞き、実際に試聴するような手間も必要といえます。判断に迷ったときには、音質に定評があり、信頼できるメーカーの製品を選ぶのも一つの手です。S PDIF
Sony Philips Digital Interface Format ソニーとオランダのフィリップスが開発した、デジタル音声データを光ケーブルや同軸ケーブルによって送受信するデジタル音声入出力規格。
5.1chサラウンド
主に映像と併用する音声再生システム。5本のスピーカーで視聴者を囲み、立体感のある音響を再現しつつ、重低音を担う1個のサブウーファーを配して、いっそうの迫力ある臨場感を演出する。