名刺一枚で「健康診断」!
使用中の冷蔵庫で注意したいのが、扉と本体の間で冷気を遮断しているパッキンです。扉を開き、パッキン部分に名刺を当て、扉を閉めてみましょう。名刺が止まっていればOKですが、落ちてしまったら、パッキンが劣化している証拠です。冷気が漏れ、冷蔵庫に負担がかかって、故障の原因となります。普段から、パッキンの点検、清掃、交換などのメンテナンスを行っておくと安心です。注目の最新機能!(1)
急速冷凍炊きたてのご飯は、冷ましてから冷凍するものですが、その過程で水分が逃げるなど、美味しさを損なう原因となっていました。最新の冷蔵庫は、マイナス40℃もの冷気で熱々の食品を一気に凍らせ、調理したてのおいしさを閉じ込められます。さらに進んだ製品では、赤外線センサーを搭載し、熱々の食品だけを狙い撃ちする機能も搭載されています。
過冷却
従来の冷凍では、水分が凍結して膨張することにより、肉や魚の細胞を破壊し、解凍時にうまみがドリップとして流れ出てしまいます。しかし、通常は凍結するはずのマイナス5℃程度でも水分が液体の状態を保てる過冷却技術を用いた製品が登場。細胞の破壊を防ぎ、肉や魚、冷凍には不向きなジャガイモやタケノコなども長期保存が可能になりました。
真空チルド
チルドとは、冷蔵と冷凍の境界付近である2℃~マイナス2℃程度に保つ機能で、生鮮食品の鮮度を1週間程度保つのに適しています。真空チルドは、チルド室の空気を抜いて、食品の酸化劣化を低減する機能。酸化に注目した点で新しく、注目の機能です。
おすし屋さんのネタケース式
従来の冷蔵庫は、食品に冷気を当てて冷やす方式が主流でしたが、乾燥した冷風は、食品の水分とともにみずみずしさを奪ってしまいます。そこで登場したのが、おすし屋さんのネタケースと同じく、ミスト状の水分を利用して、ゆっくりと食品を冷やす冷蔵庫。乾燥を防ぐと、ビタミンCの保持や、油脂の酸化を防ぐ効果もあるそうです。
年間電気代をどう読む?
冷蔵庫のカタログで目に付くのは、「省エネ基準達成率150%」や「年間電気代10,000円節約」など、省エネ性能をうたう文言。ちょっと怪しげですが、日本電機工業会が実際の家庭30件を調査し、最新機種は約10年前の機種と比べて、年間消費電力量を平均で約43%削減できるという結果を発表しています。また、カタログに表記されている電気代は、一定の条件で算出されたもので、実際に各家庭で使用したときとは差異が生じますが、指標としては十分役に立ちます。なぜなら、冷蔵庫は24時間365日、コンセントにさしっぱなしで使うものなので、省エネ性能の高さが電気代の節約に反映されやすいからです。適度の大きさで省エネ!
いくら省エネタイプといっても、冷蔵庫は大型になるほど消費電力量も多くなるので、無駄に大き過ぎるのは考えものです。逆に、小さい冷蔵室に食品を詰め込み過ぎると、冷却効率が悪くなり、食品を探すのにも時間がかかるため、冷気が逃げて無駄が生じます。省エネは、家族構成や用途に合わせて、適度な容量を選ぶことから始まるのです。ある大手メーカーでは、冷蔵庫の標準的な容量目安として「70リットル×人数」+「常備品や予備容量として170リットル」を推奨しています。この計算では、4人家族なら450リットルが適切な容量となります。これにライフスタイルを加味し、外食が中心なら、もっと小容量を、逆に育ち盛りのお子さんがいて、1週間に1度、大量の食品を買いためるようなら、もっと大容量で、冷凍庫が広いものを選ぶとよいでしょう。ポイントは、5年先を考えることです。お子さんの誕生や成長なども見越しておきましょう。
注目の最新機能!(2)
除菌イオンを利用した除菌効果で、冷蔵庫内の空気や、食品パッケージに付着した雑菌を低減できる製品が登場しています。傷んで捨てる食品が少なくなれば、これも一つの「エコ」。食費の節約にもなりますね。
ビタミン増加
野菜に特定の周波数の光を照射すると、成長や熟成を促進したり、抑制したりできます。これを利用し、LED(発光ダイオード)の光で野菜のビタミンを増やすという、冷蔵を超えた機能が注目を集めています。さらに研究が進めば、冷蔵庫の中で野菜を育て、必要なときに必要な量だけ新鮮な野菜が利用できる時代も来るかもしれません。
保温庫
冷蔵や冷凍の排熱を利用し、調理した食品を温められるという、冷蔵庫の概念を超えた製品が登場しています。通常、どのメーカーも、保温庫は、スイッチ一つで冷蔵や冷凍スペースに切り替えられ、家族構成や季節の変化に合わせて使い分けることができます。
「エコ替え」に騙されるな!
省エネ技術の発達で、まだ使える家電や車を買い替えてエネルギーを節約しようとする「エコ替え」が話題です。しかし、使える冷蔵庫を捨ててまでエコ替えするのが、エネルギーや資源、費用の節約に貢献するのかは疑問が残ります。400リットルクラスの冷蔵庫を想定し、3通りのケースについて試算したものを(図表1)~(図表3)に示しましょう。試算より、15年サイクルで買い替える場合と、10年サイクルで買い替える場合では、トータルの出費はほぼ同等になると推測できます。省エネの観点からは、10年で買い替え、省資源の観点からは15年で買い替えるのがよさそうです。使い勝手を加味すると、10年で買い替えるほうが、新機能を搭載した冷蔵庫を使えるチャンスが期待できるなど、お得そうです。一方、8年サイクルで買い替える場合、トータル費用は最も高くなりました。費用とエネルギー、また資源の消費量との相関性がおおむね比例していると考えると、最も省エネができる半面、それ以上に資源の無駄が多いと考えられます。
結論として、冷蔵庫を買い替える適正時期は10年程度といえます。省エネイメージ先行で、10年に満たない冷蔵庫を買い替えてしまうのは要注意ですが、10年でエコ替えするのは悪くないようです。あなたのご家庭では、冷蔵庫を10年以上使っていませんか。
イオン(ion)
物質が電気的に中性ではなく、プラスないしはマイナスに偏っている状態。