二大方式! サイクロンと紙パック
掃除機の方式としては、吸い込んだ空気を回転させ、遠心力でゴミを分離するサイクロン方式と、フィルターの役割を果たす紙パックでゴミを濾過(ろか)する紙パック方式の2種類があります。サイクロン方式は、ゴミがたまることによる吸引力の低下が少なく、また紙パックを購入しなくて済むため経済性に優れています。半面、一度にためられるゴミの量は少なく、紙パックよりも頻繁にゴミ捨てが必要なうえ、面倒です。対して紙パック方式は、ゴミがたまると吸引力が低下しますが、ゴミ捨ての頻度が少なくて済み、また紙パックごと捨てられるため、簡単で手や周囲が汚れにくいメリットがあります。吸引力や排気のクリーンさ、騒音などの点に関しては、一概にどちらが優れているとはいえません。方式よりも、メーカーや製品による性能の差を検討することが重要です。特に注意したいのは、優れたイメージのあるサイクロン方式で、名前だけ「サイクロン」と冠した製品も多く、無名メーカーの格安製品には期待しないほうが得策です。
畳の部屋ならシンプル機能で
下宿やアパートなら、畳だけのワンルームというケースもあるでしょう。畳の場合、ホコリが表面に浮いていて比較的掃除がしやすいので、機能については吸い込んでくれさえすればよく、また吸引力もそれほど強力でなくても構いません。吸引力は「W(ワット)」の単位で表示され、畳の場合なら350Wもあれば十分です。シンプル機能で吸引力もほどほどの製品を選ぶと、小型軽量で扱いやすく、価格も手頃でおすすめです。予算があれば、フィルター能力が高く、排気から微細なチリが漏れ出さないものを選ぶとよいでしょう。逆に部屋が小さければ、ゴミもそれほどたまらないので、立ったまま楽に操作できる軽量なスタンドタイプもおすすめです。カーペットの部屋なら回転ブラシ付きを
床にカーペットを敷いている場合は、毛足にゴミや髪の毛が絡むため、掃除機には過酷な条件といえます。吸い込みノズルの先に回転ブラシを搭載し、吸引力も強力な製品を選びましょう。カタログの数値では500W以上が強力な部類に入ります。回転ブラシには、吸引する空気の力でブラシを回すタービンブラシと、モーターでブラシを回転させるパワーブラシの2種類があります。タービンブラシはノズル部が軽量で扱いが楽な半面、ゴミをかき出す力は弱めです。パワーブラシはゴミを強力にかき出してくれますが、同時にカーペットの毛足を削って傷めてしまううえ、重くて取り回しや持ち運びが容易でないデメリットがあります。フローリングが主体なら新機能で磨く
フローリングは、畳と同様にゴミが浮いているので、シンプルで軽量な製品が適しています。一方、最近はフローリングのご家庭が増えたのか、フローリングにより適した製品も登場しています。例えば、回転ブラシ部に市販の使い捨てウェットシートを巻き付け、ゴミ吸引と同時に床磨きができるユニークな製品も登場しています。また、汚れを蒸気で浮かせて拭き取る方式のスチームクリーナーも注目されています。夜間や早朝なら静音タイプを
仕事や子育てで忙しいご家庭では、夜間や早朝に掃除機がけをせざるを得ない場合が多いようです。そんなご家庭には、静音タイプの製品がおすすめです。同じ吸引力なら、静音タイプの方が高価な傾向がありますが、騒音の差は歴然です。カタログでは、「~dB(デシベル)」のような表示が目安になり、おおよそ60dB以下が静音タイプといえます。しかし、騒音の質によっては、同じ音量でもうるさく聞こえる場合もあるので、可能であれば、店頭で実際に比較してみるのがよいでしょう。なお、掃除機の騒音自体が小さくても、フローリングの床にノズルがコツコツと当たるような音は、階下に意外と大きな音で伝わるものです。静音性能の優れた掃除機でも、夜間や早朝は取り扱いに十分注意しましょう。家や部屋のサイズが重要
広い面積を掃除する場合、掃除機にたまるゴミの量も増えるので、ゴミがたくさんためられるスタンダードなキャニスター型の紙パック方式が便利です。その点、サイクロン方式はゴミをためられる容量が少なく、広い面積を掃除する場合は不便を感じるかもしれません。総じて、紙パック方式のほうが小型軽量で、別の階に運ぶようなときも楽で、日本の家庭事情には適しているといえます。比較的狭い面積を掃除するのであれば、スタンド型も便利ですし、階段や細かな部分まで掃除したいならハンディータイプも備えておき、使い分けるのもよいでしょう。一つの部屋がとても広いご家庭なら、自動で室内を移動しながら掃除をしてくれるロボット型も一案ですが、床に物が散乱しているときなどは、それらをあらかじめ片づけておかなければなりません。アレルギーの人は必須! 花粉・ハウスダスト対策
花粉やハウスダストが排気に混じって再び放出されることがあります。花粉症などアレルギーをもつ人がいる家庭では、強力な集塵フィルターを備えた製品を選ぶのが基本です。また、排気が床を直撃せず、花粉やハウスダストを舞いあがらせないように工夫をした製品もあります。他にも、ノズル部にセンサーを搭載し、目に見えない花粉やハウスダストの取り残しを知らせてくれる製品もあり、いずれも有用な機能といえるでしょう。自分にぴったりの掃除機を手に入れると、成果が実感でき、掃除が楽しくなるものです。掃除が苦手な方ほど、この機会に真剣に掃除機選びをしてみてはいかがでしょうか。