安心して暮らせる国づくりを
かくも多くの困窮者を生み出したこの国を、安心して暮らし続けていける国に変えていってほしいとの想いが、07年参議院選挙で表明された。それは、参議院議員だけへの叱声だったわけではない。衆議院も含めた政治家たち、官僚制のあり方、そして自治体行政のあり方にも共通する、いわば政府公共部門に携わる人々へのメッセージであった。もういちど確認しておこう、私たち国民が働きの一部を税として納め、政府を運営しているのはなぜだ。それは、いつ訪れるともしれないリスクを、自己責任といわず、社会的に支える仕組みを維持していくためである。
病気には医療制度を、突然の離職には雇用保険と再就職の道を、働くことができずに所得のない者には生活保護を、高齢者の生活に年金を、子どもには教育機会を、災害には災害救助を社会的に保障する。そのために私たち国民は地方自治体と中央政府を、勤労者たちと使用者とは社会保険を組織した。その役割を忘れて自らの組織の防衛に走る効率化の追求は、勤労者国民に背を向けたふるまいといわれるであろう。