少子高齢化が進んでいる日本において、ますますその割合が減っていく子どもと若者ですが、選挙結果の影響をより長く受けるのは、今を生き、次代を生きていく世代です。今後50年、60年と生き続ける子どもたちが、社会に関心を持ち参加することは、賢い有権者を育てるためにも、そしてシチズンシップや主権者意識を育むためにも、大事なことです。
東日本大震災で被災した自治体においては、復興計画を検討する会議に、有権者ではない小学生や中学生をメンバーとして参加させているところもあります。子ども時代から、「地域の担い手」という意識を持つことは、それこそ主権者としての自覚と責任を意識することになるのです。
だからこそ、「シチズンシップ教育」を学校だけで取り組むのではなく、家庭や地域、あるいは職場などでも取り組んでいくことが不可欠になります。当然、立候補する側は、18歳でも理解できる、より分かりやすい政策を打ち出すことが重要となります。
子ども世代の関心を高めるには
今回「18歳選挙権」が実現した背景には、憲法改正に必要な国民投票について定めた「改正国民投票法」(2014年6月施行)があります。「改正国民投票法」においては、その投票年齢を4年以内に18歳以上に引き下げることとしており、これに合わせて選挙権年齢も引き下げることを、共産、社民両党を除く与野党でプロジェクトチームがつくられ議論されていました。14年秋の臨時国会で選挙権年齢を引き下げる公選法改正案が提出されましたが、衆議院解散で廃案となり、今回、改めての審議入りとなり、全会一致での可決・採択となりました。このように、18歳選挙権実現の背景には「憲法改正」があります。憲法を改正するかどうかを最終的に決めるのは有権者です。国の根幹である憲法の改正について、今までよりも多くの世代が関わることができるようになるということは、それだけ多様な世代が意思表明をし、選択の機会が拡がることになります。
今を生き、これからの社会を担っていく子ども世代が、より社会に関心を持ち、参加していく機運を高めていくための取り組みを、私たちおとなが積極的にすべき時がきているのです。