「ドイツのための選択肢(AfD)」やイタリアの「五つ星運動」、英国のBREXIT党が属する「自由と直接民主主義のヨーロッパ(EFDD)」、フランスのマリーヌ・ルペン党首が率いる国民連合(RN)やイタリアの「同盟(レガ)」、オランダの自由党が属する「国家と自由のヨーロッパ(ENF)」、ポーランドのPiSなどが属する「欧州保守改革グループ(ECR)」の3つである。
今回の選挙ではENFの躍進が最も目立った。同会派の議席数は36から58議席に増えた。またEFDDの議席数も42から54議席に増えた。
ただし、この選挙の前には、「ポピュリスト会派が過半数を占めるのではないか」という懸念が出ていたが、自由市場経済を重視する会派と緑の党の系列の会派が議席数を増やしたためにそうした事態は避けられた。EUの将来を危惧した多数の若者たちが投票所に足を運んだことから、投票率が42.6%から50.9%に大きく増えたことも、ポピュリスト勢力の圧勝を阻んだ。EFDDなど3つの会派の議席数を合わせても171で、過半数(376)には遠く及ばない。欧州の選挙では、投票率が低いとポピュリスト勢力の得票率が伸びる傾向がある。
欧州議会選挙で、EU擁護派はポピュリスト勢力の大躍進を防ぐことに成功した。彼らはこの勝利に気を緩めず、EUを改革し市民に受け入れられる組織にしていく作業を急がなくてはならない。
[終]
(文中敬称略)
※1「EJO」2017年8月31日(https://de.ejo-online.eu/pressefreiheit/polnische-medienreform-forderte-ihre-opfer)
※2「ツァイト・オンライン」2019年4月25日(https://www.zeit.de/news/2019-04/25/kaczynski-bezeichnet-homosexuelle-als-bedrohung-fuer-polen-20190425-doc-1fx723)
※3「フォーカス・オンライン」2017年7月28日(https://www.focus.de/politik/ausland/deutsche-weisen-verantwortung-fuer-den-krieg-zurueck-kaczynski-will-deutsche-reparationszahlungen-fuer-polen_id_7410392.html)
※4「フランクフルター・アルゲマイネ」2019年2月22日(https://www.faz.net/aktuell/politik/ausland/orban-verteidigt-plakatkampagne-gegen-juncker-und-soros-16054761.html)
※5「ターゲスシャウ」2019年2月20日(https://faktenfinder.tagesschau.de/ungarn-eu-soros-101.html)
※6「ハンブルガー・アーベントブラット」2010年12月22日(https://www.abendblatt.de/politik/ausland/article107903422/Pressefreiheit-gefaehrdet-Ungarn-protestieren-gegen-Mediengesetz.html)
※7「デア・スタンダード」2010年9月22日(https://derstandard.at/1285042396637/OSZE-kritisiert-neues-Mediengesetz-scharf)