ひるがえって、現在、高等教育機関全体の学費負担年間総額は約4兆円(貸与型奨学金の年間総額約1兆円[2019年度]+国立大学86校の年間学生納付金総額約3400億円+私立大学約600校の授業料等年間総額約2兆6320億円[文部科学省「我が国の教育行財政について」2014年度])。前述した富裕層・超富裕層の金融資産299兆円のわずか1.3%であることを考えれば、高等教育の無償化は富裕層への課税強化によって十分に実現可能である。
「大学等における修学の支援に関する法律」が唱える「高等教育無償化」のウソに騙されることなく、奨学金返済負担の軽減、給付型奨学金の拡充、そして高等教育の学費負担軽減を、富裕層課税をはじめとする「応能負担」税制によって進めることが、「高等教育無償化」への望ましい筋道だと言えるだろう。
「高等教育無償化」のウソ~真の「教育の機会均等」を実現するために必要なこと
(武蔵大学教授)
2019/08/16