もちろん、日建設計、日本設計、久米設計、森ビル、三菱地所など、大手の設計組織や不動産も開発に関与し、大型のプロジェクトを推進している。一方、松原弘典や、上海の佐伯聡子のように、地元に密着しながら小さな仕事を手がける建築家もいる。彼女はアメリカに留学時、馬清運の教え子だったことから、中国で設計事務所KUUを始めた。むろん。ヨーロッパからも中国に参入しているが、日本は世界的にも誇れるデザインのクオリティーと距離的な近さが有利な状況を導く。
日本の先を疾走する中国建築
現在、中国では、日本の建築書が次々と翻訳されている。磯崎新の展覧会も各地を巡回した。10年前の中国には、古色蒼然とした建築雑誌しかなかったけれど、今やイタリアの「DOMUS」と提携したり、「URBAN CHINA」などのメディアが展開している。建築家だけではなく、情報も急速に浸透し、共有されるようになった。したがって、中国のテーマパークを笑っている場合ではない。今や、ある面では、すでに中国建築の方が日本よりも先を疾走しているのではないか。むろん、そこにはひずみもある。十分に検討されない巨大な開発、粗い施工など、将来への不安もないわけではない。だが、それを差し引いても、世界の未来はここにあるように思う。日本や欧米では夢に終わるプロジェクトが、野心のあるクライアントによって、中国では実現の可能性を与えられるからだ。