画質、時間、スピードのカラクリ
カタログに「300時間録画」などの表示があっても、うのみにしてはいけません。HDDやDVDには一定の容量があり、録画時間は、時間当たりのデータ量が少ない低画質なら長く、高画質なら短くなるからです。カタログに記載の最長録画時間は、エコノミーモード などとよばれる最低画質モード(VHSの3倍モード以下の画質!)を基準に算出されており、実使用を反映しているとはいえません。HDDの容量を決める際は、自分が使うであろう「画質モード」を基準に考えることが重要です。特に、高精細な大型テレビを利用している人は、高画質モードを基準にすべきでしょう。()これに似たポイントでは、「ダビング48倍速」といった、HDDからDVDへのダビングスピードの誇示も気になります。これはあくまでも、「映像再生時間÷ダビング時間」にすぎません。例えば、エコノミーモード(6時間分の映像)を8倍速(1/8時間)でダビングすれば、「6×8=48倍」と計算できるわけですが、本来の実力は8倍速なのです。
また、DVD-RWなど何度も書き換え可能なメディアは、一度だけ録画可能なDVD-Rメディアに比べて高速ダビングが苦手なことも覚えておきましょう。他にも、旧型のDVDプレーヤーで再生できる「Videoモード」を利用したDVD録画では、録画後にファイナライズ(仕上げ)作業が必要になり、想像以上に時間がかかることもあります。改善策として、ファイナライズが不要な「VRモード」が登場しましたが、旧型のDVDプレーヤーで再生できないデメリットがあります。
カタログでは分かりにくい、機能制限や操作感
カタログで機能の有無は確認できますが、実際に使えるかどうかは、操作画面の分かりやすさや、リモコンボタンを押してからの応答速度などにもよります。特に、CMをカットしたり、自分で撮影した映像を編集するなら、なおさらでしょう。また、ダビングを多用するなら、ダビング中の再生や録画予約など、同時に他の操作ができるかどうかも重要なポイントになります。製品を選ぶうえで、あると便利な機能は人それぞれですが、地味ながら2チャンネル同時録画や自動録画機能は押さえておきたいところです。理由は、人気番組はゴールデンタイムに集中しがちなので、あまり録画しない人にも意外と重宝だからです。また、出演者名やジャンルなど、使用者があらかじめ登録したキーワードに該当する番組を検索したり、過去の録画データから使用者が好みそうな番組を分析して行われる自動録画は、HDDによる長時間録画との相乗効果で、VHS録画時代には考えられなかった利便性を提供してくれます。番組の録り逃しの防止はもちろん、「予約操作が苦手で録画しなかった」という人にも強い味方となるでしょう。
スペック数値のトリックはここだ
複雑化したデジタルレコーダーの難点は、電源を投入してから使えるまでの起動時間が20~60秒程度と長いことです。そこで「高速起動、電源ONから録画まで3秒」といった文句に魅力を感じる訳ですが、ここにも落とし穴があります。まず、これらの製品は「高速起動用スタンバイモード」なるものを設定しておく必要があり、これが曲者です。実はこのモードで待機状態にすると、表面上は電源がOFFのように見えますが、ONのときに極めて近い電力を消費しています。電源を切らなければ、起動も速くて当然ですね。今の製品の完成度はどれぐらいなのか
デジタルチューナーをダブルで搭載した製品も安価になり、すでに成熟商品ともいえますが、現在、著作権保護のルール変更がもちあがっており、この点に注意が必要です。現在のHDD/DVDレコーダーは、HDDからDVDにダビングする際、「コピーワンス」ルールに従い、元となるHDDの映像を消去し、DVDに移動させる「ムーブ」となります。またこの際、HDDに録画した高精細なハイビジョン画質の番組を、DVDの規格上、標準画質に落とさざるを得ず、ユーザーには不評でした。今後、新しいルールである「ダビング10」が始まると、9回のコピーと1回のムーブが可能となるため、HDDの映像をハイビジョン画質で残したままDVDに9回ダビングできるようになります。今買うなら、少なくともダビング10のスタートに備え、これに対応できる(アップグレード)できる製品を選びましょう。なお、最新製品では、互換性が乏しいものの、DVDにハイビジョン画質でムーブできるものも登場しています。ハイビジョン録画を前提とした「ブルーレイディスク」や「HD DVD」といった次世代DVDもまだまだ高価なので、検討の余地はあるでしょう。将来は、デジタルチューナーやHDDの低価格が進むと、すべてのチャンネルがまるまる一週間分録画できる製品が登場するといわれています。一方で、放送法や高速通信などのインフラが整備されれば、HDDの容量をさほど増やさず、見たいときに見たい番組をインターネット経由で視聴するVOD(ビデオオンデマンド)が主流になる可能性もあります。
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